n回目の一心不乱〈 QK 〉

がんばる神様 - kwmr ページ40

※『がんばれ神様』の続きです

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12月23日。そう、今日はクリスマスイブの前日。私は勝手にイブのイブでイブイブと呼んでいる日である。

世間はみんな揃いも揃ってクリスマスがどうだとか言っているのに、私の現在地はオフィス。つまりこんな日でも仕事中だ。


全く何でこんな日にまで仕事を溜め込んでいたんだこの前までの私…、今日終わらなかったら明日も仕事だろうなあ。

……と、私がこんな日にまで仕事を溜めやがった自分を恨んでいたところ。



「手止まってるよ」

「ビェッ」


急に背後から声をかけられた。マズいこれはマズい、サボりが編集長にバレると死ぬ──と、慌てて振り返ると。


「……げ、河村さん」


正直編集長より嫌な人がそこに立っていて、思わず素直な反応が出る。…くそ、ならまだ編集長の方が良かったわ。


「何それ。…またおまじないでも見てたの？」

「見てませんよ！！あれ以来オフィスでプライベートなこと調べるのやめたんですからね！！」


全く自分が原因だと言うのにお気楽な人だ。こちとらいつバラされるかとビクビクしていたのに。

この人前じゃ弱い態度を見せたら基本的に負けだ。だからこそ怒っているフリをして、ふいとそっぽを向いておく。



「……、ふーん」

「…え、なんですかその反応」


と、気張っていたのだけど。

河村さんは視線をあちこちに彷徨わせ、何だか落ち着かない様子でただそれだけを言った。

何だこれ、何だこれ。河村さんが大人しいってまさか体調不良だろうか。普段ならにやにやとからかってくるのに。



「いや別に。何でも」

「…いやいや何でもあるでしょ。何か変なものでも食べました？」

「食べないよ。犬じゃないんだから」


言っていることだけは河村さんのそれなのだけど、やっぱりそわそわしていて何か変だ。怒られてる時の小学生みたい。

訝しげにじいと見つめてみる。河村さんはあからさまに目を逸らし、ごほんと咳払いをした。



「そんなに見ても何もないよ」

「……ほんとですか？」

「……」


落ちる沈黙。そっぽを向いた河村さん。めげずに見つめてみる私。……やっぱり何かおかしい。




「……」

「……」

「……あー、…いや、何て言うか」



数秒が経った。

きっと私の圧に負けたのだろう、不意に河村さんはぼそぼそと言葉を紡ぎ始め、バツが悪そうな表情をした。私最強。


　


「……あのさ。

　…明日、とか。……予定ある？」




……はい？






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