【短編集】助けて...

ハイネ(王室教師ハイネ) ページ29

『ッ...』

切っても切っても辞められない。
昔から教師が苦手だった。
姫だからって、私は何も抵抗しないからって殴られて蹴られて勉強ができなければ文句を言われる。
でも今回来た教師は違って。でも怖いんだ。きっとこの人もって思うと。そんな自分が嫌で辞められなかった。前々から自傷はやっていたが隠してきた。誰にも言わずに。だから、誰にも心配されずに済む。

まだ、まだ、足りない...！！

「これ以上は危険ですよ。A姫」

私の手を掴むのは王室教師ハイネだった...

『ハイネ...せん...せ...どうして...』

「少し気になっていたので、もしかしてと思って来てみたら...やはりやってましたね。とりあえず止血しましょう。これだけ切ってしまうと縫う事になってしまいますよ？ほっといたら出血多量で命に関わって」

『別に...それで...よかった...のに...』


正直...消えたくてしょうがなかった。

「A姫...教育的指導です」

『え？』

「あなたが消えてしまったら王子だけでなく、国王、アデル姫、A姫と関わって来た方々はとても悲しみますよ。私もその中の一人です。きっと過去にあったのでしょう。ですが、植え付けられた過去、トラウマは二度と消えません。だから、少しでもそれが忘れられるように前を向いてみませんか？」

『前を...向く...』

「未来が少しでも明るくなることを願って。私もそのお手伝いをしましょう。自傷については私とゆっくり治していきましょう。これでも私、カウンセリングもできるんです(ﾄﾞﾔｯ」

『せん...せ...ありがと...』ﾆｺｯ

血が出ていた腕は、いつの間に止血され手当が完了していた。

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