120バナナマフィン ページ20
佐久間side
「…っ、」
朝起きると二日酔いで頭が痛くて、身体を起こすのがやっとだった。
もちろん心身ともに会社に行ける状態じゃない俺は、
だいぶ残ってた有給を消費することにして再びソファーに寝転ぶ。
………それにしても、なんか懐かしい夢みたなぁ、
眠ってる間に見た夢は、俺らがまだ中学生の頃、
14歳の雫の誕生日の翌日の話。
この年はたまたま照とあげるものが被ってしまって
お互い違う装飾の施されたバレッタをあげた。
もちろん翌日、学校に彼女がつけてきたのは照にもらったバレッタで、
分かりきってはいたけど、選ばれなかったことにぐっと苦しくなって、嬉しそうにそれをつけている雫をみて居た堪れなくなった。
苦しいけど、誰も悪くないし自分で勝手に苦しんでるだけだから、皆を困らせたくなくてその日は必死に笑顔を作った。
どうやら俺は自分の感情を隠すのが上手いみたい、
照にも雫にも気づかれることはなくて、
だけど…Aだけは、彼女だけは違った。
____________________
ダンス部の活動を終えて、いつもなら雫と照と一緒に帰るところだけど、俺は適当に用事をつけて、先に体育館を後にした。
早く帰ってアニメでもみよー。なんて自分の気持ちをあげるようなことを考えながらとぼとぼ歩いてると
正門で見慣れた後ろ姿と白い息が見えて、
「…え、A、？」
名前を呼ぶと振り返った彼女は『さっくん！お疲れ様』ってにっこり笑った。
「なんで？」
俺たちは運動部だけど、料理部のAがこんな時間に学校に残っているなんておかしい。
「もしかして俺待ってたの？」
______コクコク
え、…何か辛いことでもあったのかな、
心配になって俺は早足で彼女に駆け寄る、
彼女に近づくと、遠目からじゃ分からなかった姿が街頭に照らされて鮮明に見えて、
あ、鼻真っ赤。
見るからに寒そうな彼女の頬に慌てて触れる。
「…っ、つめた、Aいつからここにいたの」
案の定冷え切った彼女の身体。
『…え、っと、10分くらい、前、かな』
…嘘つくなよこんなに冷たいのに、。
歯もガタガタ言ってるし声も震えてる。
「どうした？Aいったい何があった？」
こんなに凍えるまで俺を待ってた理由はなんだろう、
きっとただごとじゃない。
不安になる俺を他所に、
『あのね、コレ、』
彼女はトートーバックから、ラップ包まれた固形物を取り出して俺に渡した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3783人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真由(プロフ) - 更新再開してくださって嬉しいです！！めっちゃ楽しみにしてます！無理しないでいいのでゆっくり待ってます！ (2022年5月16日 10時) (
レス) @page50 id: db608c2c8e (このIDを非表示/違反報告)
あんぱん(プロフ) - 更新再開してくださって本当に本当に嬉しいです！！続きが読めることが幸せでしかないです。これからも作者さんのペースで頑張ってください！ (2022年5月16日 4時) (レス) @page50 id: cf1a17e7dd (このIDを非表示/違反報告)
イブ(プロフ) - 更新ありがとうございます。又楽しみに待ってます。 (2022年5月15日 9時) (レス) @page49 id: d7ecb85cf0 (このIDを非表示/違反報告)
音彩(プロフ) - 更新して頂き有難うございます！私が１番楽しみにしている作品なので、また物語が進んで嬉しいです！お忙しいのかと思いますが、少しずつでいいのでいつか完結してこの物語を読み切る日を楽しみにしています！応援しています！ (2022年5月14日 23時) (レス) @page49 id: 81d02fafe5 (このIDを非表示/違反報告)
kaaa54(プロフ) - 一気に読んでしまいました・・・更新楽しみにしています (2022年4月15日 21時) (レス) @page48 id: fc5b39cb10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くまくん
| 作成日時：2021年10月2日 9時
