19 ページ22
そのまま激しくガラス張りの壁に叩きつけられる。
背中にじわりと痛みが走り、はっとして顔を上げた時にはもう、彼の手が私の首を絞めあげていた。声が出ない。
「……っ!」
「馬鹿だな、僕なんかを信用して」
彼は笑っている。それから低い声で言った。
「あのさ、立花。僕の傍にいるってことは、僕にいつ何処でこういうことをされても耐えなきゃいけないって事なんだよ。ちゃん分かってるの?」
「…………苦し……」
首が痛い。息が出来ない。彼の白くて細い指からは想像も出来ない程の強い力で、ギリギリと絞められている。
「僕が最低な奴だって、分かった上で一緒にいるんでしょ?だったら、こんなの苦じゃないはずだよね」
「わ…わかりましたっ…わかりましたからっ………!」
「なにが?」
「た、耐えられ………ますから……私…っ……だから…」
声を絞り出してそう言うと、彼は満足したようにやっと手を離した。
「そう。じゃあ頑張ってね」
離されるなり、私は床にどっと座り込む。酸素を深く吸い込んで、呼吸を整える。
「はあ…はあ……っなんでいきなりこんなこと…」
「いや、ちょっと試してみたくなった」
何事も無かったかのように彼は微笑む。
「試すって…」
「こんなことをしてもまだ、僕と一緒にいられるのかなってさ」
「………勿論です…私、頑張るって決めたんですから」
息を整えつつ、立ち上がる。
リンと音が鳴り、エレベーターが40階に到着した。扉が開く。
相沢君に手を引かれて、エレベーターを出る。そのままいくつも並ぶ部屋の前を通り過ぎていく。
「(……私、いきなりあんなことされたのに相沢君のこと全然嫌いになれない…)」
むしろ、気持ちはどんどん大きくなるばかりだ。おかしい。自分で自分を恐ろしく思いながら、彼の背中を追う。
「ここだよ」
一番端の部屋の前で、彼は立ち止まった。
52人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポエム(プロフ) - 【お知らせ】登場人物イラスト、世界観イラスト更新しました。 (2019年3月26日 16時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - あうんさん» ありがとうございます!!気に入ってもらえて嬉しいです…!更新頑張りますね!! (2018年11月2日 22時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
あうん(プロフ) - ヤバイ…どストライクすぎます!あんずちゃんの狂った感じがたまらないです!更新応援してます! (2018年10月31日 6時) (レス) id: 8621d19bdc (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます…!!更新頑張ります^^ (2018年10月13日 7時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 読みやすいし面白いです!応援してます! (2018年10月10日 14時) (レス) id: 7f2ddeb6c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ポエム | 作成日時:2017年10月21日 9時