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相沢君に連れられてやってきたのは、とあるマンションだった。中心街の端、建ち並ぶ高層ビルの間を通り、そびえ立つ青白いガラス張りの建物の前で彼は立ち止まった。
「ここ…ですか?」
「そう。ここだよ」
彼は入口付近にある筒状の金属の壁に手を翳し、扉を開けた。今ではすっかり普及している、埋め込みチップ式の扉だ。
彼はカツカツと靴を鳴らし、中へ進む。私も慌ててそれに続いた。
「これから会う人って、その…大人の方なんですか?」
「いや、僕らと同い年の男子だよ」
「そ、そうなんですか…!てっきり恐い感じの人を想像してました…」
私の勝手な想像だが、アインの人間は皆厳つい大人のイメージがあった。だから相沢君がアインの一員なのだと知った時は、内心呆気にとられたものだ。
「あいつは恐いどころか、むしろその逆。全然こわがる必要なんて無いからね」
相沢君は笑いながら言った。
二人でエレベーターに乗り込む。彼は40階のボタンを押し、携帯端末をいじり始めた。エレベーター内は一部の壁がガラス張りになっており、私はそこから遠ざかる下界を見渡した。
「随分高いですね…アインの人達って、皆こんなところに住んでいるんですか?」
彼は携帯端末から目を離さずに答えた。
「多分、そうでもないよ。その辺の安いアパートに住んでる奴だって沢山いると思う」
「ちなみに、相沢君の家はどの辺なんです?」
彼は端末から顔を上げ、ガラスの向こうを指差した。
「あれだよ」
「えっと…あの黒い建物ですか?」
「違うよ、もっと左の方」
「え…あ、あれかな?」
「…全然違うし」
はあ、と溜息をついて彼はまた携帯端末に目を向けた。
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ポエム(プロフ) - 【お知らせ】登場人物イラスト、世界観イラスト更新しました。 (2019年3月26日 16時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - あうんさん» ありがとうございます!!気に入ってもらえて嬉しいです…!更新頑張りますね!! (2018年11月2日 22時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
あうん(プロフ) - ヤバイ…どストライクすぎます!あんずちゃんの狂った感じがたまらないです!更新応援してます! (2018年10月31日 6時) (レス) id: 8621d19bdc (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます…!!更新頑張ります^^ (2018年10月13日 7時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 読みやすいし面白いです!応援してます! (2018年10月10日 14時) (レス) id: 7f2ddeb6c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ポエム | 作成日時:2017年10月21日 9時