11 ページ13
…
「ん…」
「(あれ?もう朝だ…)」
重い身体を起こす。
どうやら随分ぐっすり眠れたみたいだ。なんだか頭がすっきりしている。ふと昨日の赤い景色が脳裏を過ぎる。
「相沢君…ほんとに相沢君と話せたんだなあ…私」
それに、死体の処理まで手伝わされて。ううん、わざわざ手伝わせてくれた。私のことを殺さずに、事情まで話してくれて…
「ほんと、すごい一日だったなあ。昨日は」
改めて感動に包まれながら、布団から出る。台所へ向かう。ひたひたと歩く足元が冷たい。お湯を沸かし、コーヒーを一杯だけ淹れる。
「相沢君、今日学校来るかな…」
頭の中にふわっと、血塗れの彼の顔が浮かぶ。また昨日のことを思い返す。本当に、なかなか体験出来ないことをした。
「私のこと、結局殺さずに生かしたままにしてくれたけど…少しは信用してくれたってことかな」
ふふ、と顔が綻んでしまう。熱いコーヒーが喉をこくこくと伝っていく。早く相沢君に会いたい。
そういえば、結局告白の返事はもらえなかった。勢いで言ってしまったし、それに付き合ってくれとは言っていない。けれど、もう一度会ったら聞いてみよう。
「早く相沢君に会いたいな…」
頭の中が、返り血にまみれた彼の顔で埋め尽くされる。まるで相沢君のことしか考えられなくなってしまったみたいだった。
「(私、会う前よりもっと好きになってる。だって想像通りの人だったんだもん…好きにならないわけないよね…)」
空になったコーヒーカップを机に置く。ちらりと目に入った時計の針が、六時半を指していた。
「学校行かなきゃ」
慌て気味にパジャマを脱ぎ、布団の上に投げ捨てる。制服を着ながらまた彼のことを考える。
「今日も会えたらいいな」
そんな期待をひたすら胸に抱きながら、私は家を出た。
52人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポエム(プロフ) - 【お知らせ】登場人物イラスト、世界観イラスト更新しました。 (2019年3月26日 16時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - あうんさん» ありがとうございます!!気に入ってもらえて嬉しいです…!更新頑張りますね!! (2018年11月2日 22時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
あうん(プロフ) - ヤバイ…どストライクすぎます!あんずちゃんの狂った感じがたまらないです!更新応援してます! (2018年10月31日 6時) (レス) id: 8621d19bdc (このIDを非表示/違反報告)
ポエム(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございます…!!更新頑張ります^^ (2018年10月13日 7時) (レス) id: 40cccc9e32 (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - 読みやすいし面白いです!応援してます! (2018年10月10日 14時) (レス) id: 7f2ddeb6c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ポエム | 作成日時:2017年10月21日 9時