宇髄と社畜 ページ5
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「...くそ、遅かった」
屋敷の入口で肉を貪る鬼の頸を容赦なく切り落とす。
灰になって消えた鬼の手から、人の手が落ちる。
すると
ゴトン
『ぅひ...!』
女の小さな悲鳴が聞こえた。
まさか、生きている人間がいるのか
声のした方に行き、部屋を除くと、女が倒れている。
半開きだった扉をガタリと音を立て開ける。
『ハアァァァァ!!!???』
そんな情けない悲鳴がこだましたと思ったら、そこから女は一気に静かになり、意識を失ったのだとすぐわかった。
......何が何だか俺にもわからねぇが、この女が重症なことはよくわかった
先程より近寄り、女を見る。
....これは
ボロボロな着物、乱れた髪、...体の傷は打撲痕、首を締められたような跡、どこかにぶつけたような。そんな傷ばかりで、鬼からの致命傷はどこにも見当たらない。
それに確かあの鬼は男を好んで食べていた鬼だと聞いている。....ということはこれは
「...っあーー、くそ」
俺は考えるのを辞め、女を横抱きして蝶屋敷に向った。
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『.....っ、ぁ、あの』
鈴の鳴るような、そんな小さな声が腕の中から聞こえる
痛々しく開かれた目は透き通っているとは言い難いが、確かに綺麗な宍色をしていた
「お、起きたか。」
そう声をかけると女は下を向き、小刻みに震える。
....まさか、男が怖いのか?
まぁあんな状況だ。怖くなっても仕方ないだろう
「随分派手に怪我してた上に俺見たら派手な悲鳴あげて意識なくなっちまうからなぁ。」
顔は見られては居ないが、笑いながらなるべく明るく言ってみる。
しかし、言葉を選び間違えたか。
『っその、ご、ごめんなさい、すみません。申し訳ございませ、』
先程の声とはうって違い、喉の奥から必死に出しているような、枯れ果てる寸前のような、痛々しい声を出した。
なんでそんな声をしてまで謝るんだ。どうして上を向かないんだ。そんなこと、聞かなくても、異常なまでに怯え許しを乞うこいつを見ればすぐにわかる。
「無理して話すんじゃねぇ。....今から蝶屋敷ってとこにお前を連れてくから、まだ寝てろ」
俺がきっとお前を派手に救ってやるからよ、そんなに怯えないでくれ
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「宇髄様、めずらしかったね。普段怪我人は私たちが運ぶのに。」
「横抱きして無言で行ったもんなぁ〜。」
「てかあの人美人だったな」
「ソコォ!ちゃんと仕事しやがれ!!」
「「はい!!」」
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かんな(プロフ) - 最高です!勘違い度高めなの天才的だと思います! (3月1日 21時) (レス) @page25 id: 114c51d1cf (このIDを非表示/違反報告)
ほしの - 初コメ失礼します…!こんなに楽しく読めたのは初めてです、私は貴方様の書く作品がとても大好きです!!これからも応援してます! (6月23日 5時) (レス) @page25 id: 924d54da23 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - また更新されるのを楽しみにしてます! (2022年8月6日 21時) (レス) @page25 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - お、終わりなんですか、、、? (2022年7月27日 21時) (レス) @page25 id: 6c54ce0ff5 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 続き楽しみにしてますっ!しのぶさん好きw (2022年6月26日 0時) (レス) @page25 id: bd033ea8fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文香 | 作成日時:2019年10月6日 3時