儚き天使【賢者の石】 (ページ20)

今日:4 hit、昨日:23 hit、合計:23,303 hit

20 ページ20

それから一週間、先生の目を掻い潜ってドラコ達が遊びにきたり、ロンやハーマイオニーが分からないことを聞きにきたりと賑やかだったが、ついにAは寮に戻ることができた。

あまり話したことのない蛇寮の先輩や同級生が、沢山話しかけに来てくれたので、Aは上機嫌だった。

「A、よく聞くんだ。僕たちが戻ってくるまでは一人で出歩かないこと。どこかに行きたい時は先輩方を頼れ」

「そうよ。絶対に勝手な行動はしないで」

『そんな、一人でも大丈夫よ』

「いや駄目だ。」

「私達は貴女を心配して言ってるのよ。ミリセント、きちんと見張っておいて！」

「はぁ、分かってますわ」

しかし、やっと戻って来れたにも関わらず、ドラコ達の過保護倍増のせいで、あまり自由に出歩けなくなった。

しかも、二人は罰則に行かなければならないので、昼休みはほとんど寮に籠らなければならなかったのだ。

毎回見張り役にされされているミリセントは、Aに同情の眼差しを送った。

「大変ですわね、ずっと寮にいたら暇でしょう？」

『そうなのよ、クィレル先生に返さなければならない本もあるのに…』

「あら、この前の授業で返さなかったの？」

『…ドラコ達ったらマグルが大嫌いなものだから、授業が終わったらすぐに外へ連れて行かれてしまうのよ』

「まぁ…」

ミリセントの同情の色がさらに深くなった。

もはや、雨の日に捨てられている子犬を見ているような目だ。

『この本を読むのも飽きてしまったわ』

Aは、クィレルに借りた本を見つめて呟いた。

今は先輩方もおらず、出歩けない。

すると、ミリセントが椅子から立ち上がり、悪巧みをするような笑顔を浮かべた。

「マルフォイ達は先生方でもないのですから二人で寮から出たところで、何もマイナスなことはないんじゃないかしら？」

Aは顔を上げて、目を輝かせた。

『ミリセント、それって…』

「寮から抜け出して、クィレル先生のところへ行きましょう」

そう言うと、ミリセントはAの手を引いて、寮の扉まで歩き出した。