儚き天使【賢者の石】 (ページ1)

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「おい、本当に大丈夫なのか？」

『そんなに心配しなくても大丈夫、貴方が荷物も運んでくれたから危険なことなんてないでしょう？』

ここはホグワーツへ向かう列車の、コンパートメントの中での会話である。

ブロンドの髪をきっちりとセットし、相手を心配そうに見つめている少年は、ドラコ・マルフォイと言う。

それとは対照的に、落ち着いて本を読んでいる少女はA・ブラウン。

吸い込まれそうなほど黒い髪は腰まで伸び、青い瞳は晴れ渡った海を連想させるものがある。

そして、その隣にはお菓子をしきりに頬張っている、クラッブとゴイルがいた。

ドラコは、始め心配そうにじっとAを見つめていたが、大丈夫だと思ったのかクラッブ達から一つお菓子をもらい、食べ始めた。

『そう言えば、あの有名なハリー・ポッターもこの列車に乗っているって言ってなかった？』

Aは、本から目を離さず問いかけた。

暇そうにしていたドラコは、今それを思い出したのか、新しいおもちゃが見つかったかのように立ち上がった。

そしてクラッブとゴイルを連れてコンパートメントを出て行った。

「絶対にお前は来たらダメだぞ、歩いて体調が悪くなったら大変だからな」

と言う忠告付きで。

Aもこれに関しては過保護すぎだと思ったが、特に出る用事もないので頷いておいた。

しかし、本を読んでいたせいで、列車の中だったのですぐに酔ってしまった。

水をもらおうと、車内販売の人を探そうとしたが、ドラコの警告が頭をよぎり、ドラコを探すことにした。

そちらの方が怒られないと思ったからだ。

思っていたより簡単に、あの3人組は見つかった。

「ウィーズリー家の…」

『ドラコ』

「あ、A！僕は来るなと言っただろう？」

声を掛けるとすぐにAの存在に気づき、まるで子供を宥めるような口調で話し出した。

コンパートメントの中にいたハリー、ロン、ハーマイオニーは、さっきまでの傲慢な態度とはまるで違う少年を二度見した。

『ごめんなさい、少し酔ってしまって』

「気分が悪いのか？すぐに水を貰いに行こう」

そして、突然現れたこの世のものとは思えない美しさの少女に気付くと、中の3人は瞬きするのも忘れ、彼女に見惚れていた。