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74話 ページ27

口を開いて違う文を云おうとしても、言葉が出て来ないまま再び口を閉じる

相手からしたら実に滑稽な姿だろう




「……まぁ、私と君の間柄はそんなに近くは無いから信用出来ないのも当然だ。また後日聞こうじゃあないか」




私がずっと喋らないのを察してか、太宰さんが気を遣ってくれた




でもこんな事が後日にあってはいけない


深入りさせる訳にはいかない




「それでさ、Aちゃん」


「敦です」




そんな事を考えていたら太宰さんが何か思い出した様に私を呼んだが、そこは否定した


いつまでも名前を呼ぶなよ




「えっ、でも先刻君は認め」


「敦です」


「否、だから」


「敦です!」


「……敦君」


「はい、何でしょうか?」



よっしゃ、勝った




「一つ提案があってだね」


「はい」


「私は自分の寮ではなく敦君の寮で晩ご飯を終えた。そして今は空が暗い、夜が深いのだ」


「は、はあ……」


「更に今、私は猛烈に帰るのが面倒臭い」


「……」


「故に!泊まらせてくれないだろうか!!」




そんなドヤ顔して云う台詞ではない


あと理由がクズだ




「どう?中々良い案だと思ったのだけど」


「別に、構いませんが……」




かと云って断る理由も無い




「えっ、マジで?」


「マジです」




なのに当の本人は目をぱちくりしていた


自分で提案したのに




「普通に断られるかと思っていたのだけど」


「断られたいんですか?」


「否、断れても無理矢理泊まる予定では居たのだけど、真逆こんなにあっさり許可が出るとは思わなくて……」




断られても無理矢理居るって最初から聞く意味ないじゃんか


何なのこの人。太宰さん?知ってる



もう泊まるならこんな堅苦しい格好しなくていいか。そう思ってネクタイを緩めて第二釦まで外したら太宰さんが慌てだした




「え、何急に脱ぎ始めてるの?え?何なの?」


「自分の部屋なのに堅苦しい格好態々しなくてもいいかなと思いまして」


「えっ、私、男。判る?」




上司に向かってこんな事思うのは失礼なんだろうけど強く思う


何云ってんだ此奴




「僕も男です」


「それでも中は女の子なのだろう?もう少し恥じらいと云うか警戒を……」


「だから僕は男ですし。万が一、僕が太宰さんに襲われたとしても太宰さんが男好きって噂が流れるだけですけど」


「そういう事ではなくて」


「?」


「いや「?」じゃなくてだね」




騒がしいなこの人


さっさと寝てくれないかな

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銀色ミカン(プロフ) - 1話から一気見しちゃいました!面白いです!更新待ってます。頑張ってください! (2017年12月17日 2時) (レス) id: c55513f974 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - お待ちしておりました!おかえりなさい! (2017年11月14日 0時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
芋娘@悪の伝道師?ウリエル?(プロフ) - ファッ!?オーストラリア!?あらまー…お気を付けて!! (2017年10月31日 14時) (レス) id: a51cded6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - オーストラリア!!!羨ましい…!楽しんで下さい!!! (2017年10月30日 22時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
ロイゼ@魔法契約民(プロフ) - いってらー、です! 楽しんできて下さいね(^^*) (2017年10月30日 16時) (レス) id: 677bf3b84c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんのーー | 作成日時:2017年10月15日 20時

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