60話 ページ12
「人虎、教えてやるがいい。誰にも貢献せず、誰にも頼られず、泥虫のように怯え隠れて生きるのが如何いう事か」
「……っ」
頭の中で流れるのは敦が前まで居た孤児院の映像
「殺しを続けろ鏡花、マフィアの一員として。でなければ呼吸するな。無価値な人間に呼吸する権利は無い」
「……そうかもしれない。でも……クレープおいしかった」
その時にゴォォォォというエンジン音が耳に届いた
其処には国木田さんが一人乗っていた
「敦ィ!!」
「国木田さん……!」
「もう嗅ぎ付けたか探偵社。纏めて膾切りに……」
芥川が此方に気を取られている間に鏡花ちゃんが地面に足を付けていた
「今の内に逃げて、この船は取引場所へは行かない!」
「ならば何処へ行く」
「どん底」
いつの間にか手に持っていたそれを鏡花ちゃんは押した。カチッという音がして直ぐ船の側面が爆発し船体が揺れる
「!」
「……ッ」
「真逆っ、武器庫の爆薬を……!自決する積りか!?」
「君……!」
「逃げて!」
「敦!沈むぞ来い!」
「!」
君ならこの状況だと逃げるだろうね
でもさ、逃げちゃダメだよ
行ったとしても報告をして、自分の意思を告げて戻って来なきゃ
そうだろ?
敦
返事をする筈の無い彼に心の中で問いかけたら足が自然と国木田さんの元へ向かった
そうだ、それでいい
「敦!此処だ!爆発の所為でこれ以上近付けん!跳べ!」
「……」
「何している阿呆が!船が沈むぞ!」
「……」
「この怒阿呆!どれだけ社に迷惑を掛ける気だ!社員全員只働きだぞ!早く乗れ!」
「彼女は……」
そうだ
「あの娘は諦めろ!善良な者が何時も助かる訳ではない!俺も何度も失敗してきた!そういう街でそういう仕事だ!」
「彼女は……助からない?」
続けるんだ
「そうだ!俺達は超人ではない!そうなら善いと何度思ったか知れんが違うんだ!」
喋ろ、敦君
「彼女は……僕と食べたクレープを『おいしかった』と……無価値な人間には呼吸する権利も無いと云われて……彼女は『そうかもしれない』と!」
思う事を云え
「僕は……違うと思う!だって太宰さんは……」
君の言葉をぶつけろ
「探偵社は僕を見捨てなかった!!」
「目が……」
「僕……行ってきます!」
「あ、おい!……っ、走れ敦!!」
口が動いた後は足がまた動き先刻まで居た場所に向かう
君なら大丈夫
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銀色ミカン(プロフ) - 1話から一気見しちゃいました!面白いです!更新待ってます。頑張ってください! (2017年12月17日 2時) (レス) id: c55513f974 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - お待ちしておりました!おかえりなさい! (2017年11月14日 0時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
芋娘@悪の伝道師?ウリエル?(プロフ) - ファッ!?オーストラリア!?あらまー…お気を付けて!! (2017年10月31日 14時) (レス) id: a51cded6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - オーストラリア!!!羨ましい…!楽しんで下さい!!! (2017年10月30日 22時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
ロイゼ@魔法契約民(プロフ) - いってらー、です! 楽しんできて下さいね(^^*) (2017年10月30日 16時) (レス) id: 677bf3b84c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんのーー | 作成日時:2017年10月15日 20時