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49話 ページ1

鏡花ちゃんを寝台の上に寝かせて医務室から出た


そしたら与謝野さんがつかつかと靴を鳴らして此方に向かってくる




「……」


「え?な、ななな何ですか?」




来たと思ったら腕や躰をぺたぺたと触り出した


数秒すればそれは直ぐに終わった




「傷は無いみたいだねェ。アンタが飛び込んだ時はどうなるかと思ったよ」


「あ、あはは……済みません」


「なァに、無事だったンならそれで良いンだよ」




ニカッと格好よく笑って与謝野さんは頭をクシャっと撫でてくれた


嬉しいんけど、飛び込んだ記憶は全く無い

おそらく敦が鏡花ちゃんと一緒に飛び込んだんだろうけど、それは私では無い為に記憶が無い



まぁこれは敦にとって良い事だ


そんな事云ったら当の本人は何故か怒るけど……


何でそこまでして私に敦を遣らせるのだろうか不思議だ




「おい小僧、大丈夫なのか?」


「何がです……?」


「敦君、大分疲れきった顔してるよ?」





考え事をしていた私だが、奮闘したのは事実だったようで先刻から躰が非常に重い


そういえば鏡花ちゃんを運んでくる時もゆっくり歩いていた感覚があったな




「大丈夫……だと思います」




取り敢えず大丈夫とは云ってみるが、いざ立ち上がり歩いてみると上手く真っ直ぐ歩けない




「フラフラしてるじゃん」




だなんてご尤もな指摘を乱歩さんが躰を受け止め乍ら云った




「よく人一人運べたね」


「あははっ、ですね」


「何で笑ってるの。何、空元気?」


「かも知れないですね」




ヘラヘラしてたら乱歩さんは呆れたような顔して国木田さんの方向に顔を向けた




「はぁ……国木田、敦君休ませた方が良い。もう限界だろ」


「そうですね。小僧、医務室の寝台の使用を許可するからさっさと休め」


「気持ちは平気なんですけどね」


「巫山戯た事云ってないで医務室行くよ。僕が手伝うから」




もう脱力してるから、ほぼほぼ乱歩さんの力で立っている状態だ


少し顔を上げれば心配そうに此方を覗く乱歩さんの顔が見えた




「与謝野さんは許してくれますかね」


「国木田が云ってくれるから大丈夫。ほら、横になって」




いつの間に医務室についたのか、目の前には真っ白な寝台があった

乱歩さんが意外と力持ちで吃驚している


背中を支えて貰い乍ら寝台の上に横になって、何度目かの天井を眺める




「ありがとう御座います」


「……ねぇ、A」


「敦です」


「……相談位は、何時でも乗るよ」

50話→



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銀色ミカン(プロフ) - 1話から一気見しちゃいました!面白いです!更新待ってます。頑張ってください! (2017年12月17日 2時) (レス) id: c55513f974 (このIDを非表示/違反報告)
時雨零(プロフ) - お待ちしておりました!おかえりなさい! (2017年11月14日 0時) (レス) id: 7585b82a1c (このIDを非表示/違反報告)
芋娘@悪の伝道師?ウリエル?(プロフ) - ファッ!?オーストラリア!?あらまー…お気を付けて!! (2017年10月31日 14時) (レス) id: a51cded6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - オーストラリア!!!羨ましい…!楽しんで下さい!!! (2017年10月30日 22時) (レス) id: 97c5c84046 (このIDを非表示/違反報告)
ロイゼ@魔法契約民(プロフ) - いってらー、です! 楽しんできて下さいね(^^*) (2017年10月30日 16時) (レス) id: 677bf3b84c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のんのーー | 作成日時:2017年10月15日 20時

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