【銀魂】かっこよく生きる為の方法

ホラーの域 ページ6

「・・本当ですね」と助手の声が落ちる。


昨日、私はたしかに、洗濯を終えた白衣を、
あのハンガーにかけたはずだ。間違いない。




「状況からみて、盗まれた可能性が高いですねィ。
一応あのハンガー、押収させてください」

「ど、どうぞどうぞ！お好きにどうぞ！
てかもう差し上げます！」

「いりやせん」

「・・ですよね」



いらないですよね。わかってたよ。
でもこの重苦しい雰囲気から解き放たれたくて
無理やりテンション上げてんじゃん？
なのにスパッと断るなんてひどいじゃないか。






「・・鹿地Aさん、でしたっけ？
あんた、本当に心当たりねーんですかィ」

「恨みを買った覚えなんてないですよ。私は、
争いごとを避けて目立たず穏やかに人生を
歩んできたんです・・」



白衣を盗むなんて何の訴えなんだろうか。
もうこの相談室を畳めということなんだろうか。

わたしの切実な訴えに、破壊王子は首を傾げて。





「いや、恨み辛みっつーより、こりゃぁ、」

「ストーカー、の類でしょうね」


「・・は？」




助手と破壊王子の意見が、見事に一致したらしい。
びっくりである。いつの間にやら息ぴったり！

ーーじゃなくて！




「わ、私は一端のカウンセラーですよ！？
・・まあ確かに見目麗しいけども」

「見目はともかく、真摯に優しく相談に乗ってもらったことから、Aさんに惚れたと勘違いする輩はいますね」

「勘違い！？」
「勘違いです」



言い切るなよ助手。少しくらい私へ惚れた男子たちの気持ちを考えてやれよ。





「まああんたがモテようがどうでもいいんですがね
ストーカーやる奴ってのは、悪気がねーんですよ。
つまり、行為が繰り返されたりエスカレートしたりってのはザラなわけでさァ」


「はぁ・・」

「あんたが狙いだってわかった以上、営業は余計に
おすすめできやせん。大人しく自宅待機でさァ」

「まあ、仕方ないか・・」



白衣どころか、私の皮まで剥ぎ取らん勢いだったら
流石に困るし、痛いのやだし。今日の営業は断念しようと納得した時、助手が静かに手を挙げた。




「あの、犯人に自宅が割れてる可能性も
ありますよね」

「こ、怖いこと言うなよ助手！」


確かにありえない話ではない。もうホラーの域だ。
映画よろしく押入れで息を潜めていなければ
いけないんだろうか。









，









「ーーーおいおい、何の騒ぎだこりゃ」





私の不安をよそ目に、気だるげな声が響いた。

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