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違和感 ページ8

ー土方サイドー





春も間近に迫り、ここまで猛威を振るっていた寒さも消えかけた時分、受付の男は、もはや俺を見て
何も言わなくなった。






「ーーーあら、いらっしゃい」



こいつのこの声を聞くのも、何度目だろうか。
変わることなく穏やかで静かなそれだが、
・・今日は、少しの違和感を覚えた。






「何かあったのか」

「え?」

「様子がおかしい」


「・・そうかね」




心当たりがないとばかりに答えるそいつだが、
一切こちらを見ようとしない。いつものキセルすら
持たず、ただうつむいて固まっていた。






「・・十四郎には、わかっちまうんだね」

「そりゃあそうだ。毎度毎度こうしてツラァ
突き合わせて話してんだ。変化にくれェ気づく」

「嬉しいねえ」



クスクスと照れたように笑いをこぼす。ーーが、
その間も、目線がこちらに向くことはなかった。






「・・以前、言ってただろう?武器商人について
何か知らないかって」


「・・・あぁ」



そいつは、唐突にそんなことを言い出した。
声はひどく静かで、小さくて。
まるで話すのを躊躇っているかのように、
恐る恐る口が開かれた。







「ーーーきたんだよ、この前」





来た、というのが誰なのか。察しがよければ
容易に想像がつくだろう。身を乗り出した俺に、
Aは静かに続けた。






「水岡信彦。大友とも繋がりがあった武器商人さ。
私の常連でね。・・しばらく音沙汰がなかったから
すっかり忘れてたよ」


「みずおか、のぶひこ?」





眉をひそめる。聞いたことのない名前だった。
俺たちが追うのは、武器売買の核心だ。

いくら周りの小物をしょっぴいたところで、
その場しのぎにしかならねーんだから。






「随分と焦ってるみたいだったよ。・・何でも、
大友が警察にとっ捕まったんだとさ」




何かを探るように、ーーそいつはそこで初めて
俺を見た。向けられた視線は、何となく落ち着かず
誤魔化すように紫煙を吐き出した。





「そりゃ、どうにも無関係とは思えねーな」

「水岡にとっていい駒だったのさ。大友は調子の
いい男だからね。おだてりゃ気を良くして働く」


「なるほどな」




まだ、水岡が核心だと決めつけるのは
よくねーが、調べてみる価値はあるだろう。

算段を頭の中で組み立て始めた俺に、
Aはなおも視線を向けており。









「ーーーーねえ、十四郎」




惑いまじりに、深刻そうな声で俺を呼んだ。

積み木→←不愉快なそれ



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - 燐さん» ありがとうございます!最後まで読んでくださり、感謝ですっ!! (2018年9月10日 21時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
- 切ない感じからハッピーエンド、感動しました! (2018年9月8日 17時) (レス) id: 6e4e502025 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 蜜柑さん» ありがとうございます!無事完結でございます!そんなお褒めのお言葉をいただきまして、私も言葉にならない喜びに震えております…!読んでくださり、ありがとうございましたっ! (2018年1月26日 22時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - またコメ失礼します。完結おめでとうございます!今回も、なんか言葉にできないけどすばらしくすばらしかったです!!(語彙力が…)シュシュさんの小説大好きなので、これからも新作待ってます!ぜひともよろしくお願いします!! (2018年1月22日 21時) (レス) id: 6a812c0c50 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ミドリムシさん» ありがとうございます!シリアス、確かに多いですね!クールでかっこいいイメージがそうさせるのかも…?足を運んでくださり、本当に感謝です! (2018年1月22日 14時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月14日 12時

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