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後ろ姿 ページ37

追加のパトカーが到着したらしく、ウーウーと派手な音が静かなはずの夜にこだましていた。

ーーそんな中、私は沖田に抱えられ、崩壊した屋敷の一角から、外に連れ出されたところだった。




彼の上着ではだけた箇所を隠しながら、
逞しいその腕に抱えられながら。



今更になってこみ上げてきた現実味に、
ぼーっとしていた。








「・・怪我は」

「大丈夫」

「痛いところは」

「いいえ」


「丈夫な女でィ」





はっ、と短く笑った沖田は、
私の体をパトカーの後部座席へと押し込んだ。







「ここで少し待っててくだせェ。あっちで土方が
いきり立ってるんでさァ。・・すぐ戻りますんで」




小さく頷いた私をみて、彼は車の扉を閉めた。

シンと静まり返った車内は、いつも使っている車よりもずっと狭い。ーーけれど、どこか安心する
懐かしい"真選組"の匂いがした。


ふぅ、と一つ息をつく。






(・・危ない目にあったのね、私は)



刀を向けられていた時は、怖いと震えることも
命乞いをしようという気も起こらなかったと
いうのに、今になって湧き上がる現実味は、
わずかに私の体を震わせていた。






「・・そういえば、他の者たちは大丈夫かしら」



いやはや、まさか私がそんな心配をするように
なったなんて、こんな状況ながら、成長を実感する





窓の外では、慌ただしく動く真選組と、
事件を聞きつけた役人たち。

土方と話をする沖田の後ろ姿が遠くに見える。




ーーあの人が来なかったら私はあのあと、どうなっていたのだろうか。考えたくもない事実が押し寄せ
思わず頭を振った。







「・・すぐ戻ってくると言ったくせに」





どうにも戻ってくる気配がない。

その後ろ姿を、窓の内側からなぞりながら、
私は急に重くなってきた瞼に身を任せ、


意識は暗闇におちていった。

力技な理論→←念には念を



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , ツンデレ   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - ミズキさん» ありがとうございます!お忙しい中、こうして足を運んでいただけることが、本当に感謝でいっぱいです!楽しんでいただけていれば嬉しいです! (2018年1月23日 18時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - 完結からかなり時間が経ってしまい、失礼ながらコメントさせて頂きます。夢主ちゃん可愛かったです!初めて真撰組に来た時と比べて性格も成長し、沖田君とも無事結ばれ・・これからも二人のほのぼのとした幸せが続く事を願っています(笑)新作も頑張ってください! (2018年1月23日 16時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございますっ!ほのぼの系目指してたのでそういっていただけて嬉しいです!最後までお付き合いくださいまして、本当に感謝です! (2018年1月7日 8時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 少し遅くなりましたが、完結おめでとうございます!!なんといっても夢主ちゃんが可愛らしくて好きでした!沖田さんとの掛け合いにもほのぼのしました!素敵なお話をありがとうございます!お疲れ様でした! (2018年1月6日 22時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!無事完結です!2018年、いいスタートを切れればと思います!2017年は、応援ありがとうございました! (2018年1月5日 19時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年12月9日 23時

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