【銀魂】困惑必須の受愛物語

バカだ ページ8

(ーーどうする、べきなんだろう)





嘘を教えようか、・・それとも、このまま黙秘を続けるべきなのだろうか。






「・・・なんで、そんな事知りたいんですか」




この人は最初から、力の弱い私を
捕まえて吐かせる気だったのだ。

ならば尚更、私は臆するわけにはいかない。


私の声に、男は肩をすくめて。







「そんなの決まってるじゃないですか。
この師団をうまく潰すためですよ」





静まり返った保管庫の中に響く、彼の声は
相変わらず穏やかに、水面を撫でるように
そっと紡がれていて。



「第七師団を狙ってる敵は五万といる。けど
その中に力であの化け物を殺れる奴はいない。
ーーーなら、策を巡らせるしかないでしょう」





化け物とは、十中八九、団長のことだろう。
憎しみを表情ににじませた男は、「そうだ」と
思い出したように。





「あんたもあいつのこと、嫌いなんですよね？
一緒に復讐しませんか」




嬉々とした表情に乗せられたその言葉に、
息を飲む。ーー私は、団長が、嫌い。





(・・・確かに、嫌いだ)




あんな胡散臭いヘラリヅラ。仕事もまともに
しないし、血生臭いし、戦闘狂だし。

ーーー嫌い、なんだけど。


ぐわりと湧き上がってきたものは、
怒りや憤りに似た感情だった。








「・・・あなたと一緒にしないでください」





私は、あいつに"死んでほしい"と思ったことは
ないのだ、ーー残念ながら。


睨みつければ、小さく舌打ちが聞こえて。
ナイフの刃先は、小さく私の喉元に食い込んだ





「団長は確かにクソ兎、ですけどッ、
ーーーあなたみたいに卑怯なことは、しない」




真正面から敵中に飛び込んでいく。
恐れを知らない笑顔で。

・・・平気で命を奪うなんて、そんなの野蛮で
人でなしだけど。ーーでも、その背中に惹かれた団員が何人いるだろう。

生死を分ける戦場で、士気を落とさず力を
振るう第七師団を作っているのは、紛れもなく
団長なのだから。



ふーん、と小さく相槌を打った男。
心底呆れたように、嘲笑するように。






「・・・ちなみに聞くけど、俺に情報を
教える気はあります？」




私って、とんでもないバカだと思う。大嫌いな
クソ兎のために、自分の命投げ打つなんて、
そんな青臭いこと。









「ーーーあるわけ、ないでしょ」








"じゃあ、死んでください"




あくまで穏やかに、
けれども、とんでもなく冷徹に。

男の声とともに、私の首を、血が伝った

余裕綽々→←ぞっとするほど

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