【銀魂】願い続けて

☆ ページ44

悪い癖だ。この人はいつも無駄に格好つけようとする。ヒーローのお約束はいらないから、さっさと助けに来てほしかったんだけれど。

・・まあ、そんなことを言っても彼には通用しない
ことは、長年の付き合いでよく知ってる。






「ーーーやっぱ、くるの遅いんじゃないの？」

「すまないな。何分UNOがいいところだった」
「まだいうか」



UNO、か。
恋人の危機よりUNOの大詰め。

もはや怒る気も起きなかった。






「ーーーそれに、お前はしぶとい女だからな。
会いたい時には、いつも変わらぬ笑みで迎えて
くれる。心配など無用だ」


「何よ、それ」





信用されてるんだか、私の機嫌取りか。
いや、後者だとすれば、小太郎にそんな器用なことができたんだと拍手を送ることになる。

ならば、前者だと信じよう。








「・・あいたかった」

「それについては俺も同意見だ」





優しく抱き寄せてくれたその人の胸に顔を
埋めれば、大好きな匂いに混ざって、少し汗の匂いがした。ーーあぁ、やっぱりかっこつけだ。


本当は、急いできてくれたんじゃないか。









「ーーーあの、お二人さん、・・いちゃつくのは
一向に構わねェんだけど、俺と野郎の死体がいること忘れてねェか」





その一言により、猛スピードで離れた私に
不思議そうな顔をむけた小太郎だったが、

すぐに、そばに倒れている男に目をやった。





「む、・・死んでいないと思うが」

「いや重視して聞いてほしかったとこそこじゃ
ねェんだけど」





気恥ずかしさで爆発しそうだ。
人前でいちゃつくなんて、不覚だった。

しかも小太郎だ。あいつは照れなんて感情を
持ち合わせていない。案の定銀さんの訴えについて
理解していない。








「・・ま、何はともあれ、これでひと段落だ。
今度こそ金は払ってもらうからな、ヅラ」

「ふん、旧友の頼みくらい快く引き受けんか。
それにAも古い知人だろう」


「んなもん、我が家の食糧難にゃ関係ねーんだよ。
いいから金出せ」





まったくもって、カオスな空間。
さっきからそうだったが。ーーやっぱり、起きた事件に対して、緊張感がなさすぎないだろうか。



お金について議論を続ける2人を尻目に、
私は小さく苦笑をもらした。




fin.

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