検索窓
今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:154,543 hit

月夜の晩に ページ32

すっかり春と化したこの季節、夜が深まれど感じる寒さは知れている。

仕事を終えて、店から出た私は、綺麗に光を
放つ月をひと眺めした後辺りを見渡した。







「・・もう、やっぱり待ってる」

「終わったか」




そんな月明かりの中で、きれいな横顔を
浮かび上がらせているのは、私の想い人。

女もうらやむような繊細な黒髪が、
わずかに吹き抜ける風を感じさせる。


小太郎は腕組みをして
静かに空を見上げていた







「・・・今夜は、月が綺麗だ」

「そうね」





そんな風流な感性を持ち合わせていたのかと
少しおかしくもなるけれど、きっとそういう
気分になるときもあるのだろう。

そう解釈して、私も月夜を堪能することにした








「ーーーねぇ、小太郎、・・あなた、一定の場所に長く住みつけないんでしょ」


「鼻だけは無駄にいい連中がいるんでな。
バレてしまえば移動もやむをえない」


「・・・そっか」




先日教えてもらった住所は、すでに使っていないらしい。数日前に警察にばれて、居場所を
変えたのだそうだ。






「・・私から小太郎に会うことは難しいって、
結構不安なの」



つい、月夜から目をそらす。昨日降っていた
雨に作られた水たまりに、歪んだ私の顔が
映し出されていた。





「いつ会えるかわからない。今はこうして
お店に来てくれるけど、いつかここに来てる
ことがバレたら、とか考えると怖くって」




ただでさえスレスレの活動なのだ。いつどこで
死の危険に会うかわからない。私がリアルに
想像できない世界だからこそ、余計に怖い。






「・・おそらくお前と会わなくなることは、
万に一つもないだろうな」

「どうして?やむをえない時だって
あるじゃない、きっと」




さりげなく回された腕が、私の腰を引き寄せる
自然にその人の肩に預けた頭。

触れているだけでドキドキするのに、それでいて落ち着くのは、なぜなのだろう。






「ーーー俺が、会いたいと願うからだ」





言葉の一つ一つに、安心するのは、
なぜだろう。







「・・なら、安心かもね」





相変わらず、私達の間に進展はない。
もしかしたら、この先に行く時にも、私から
きっかけを作る必要があるのかもしれないな。

ーーなんて。



そんな可能性に苦笑しながら、
私たちは、月夜の影に身を隠し、

密かに、軽い口づけを交わした。

お互いの→←濁された理由



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (268 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
274人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 桂小太郎 , 攘夷   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

シュシュ☆☆(プロフ) - さざんかさん» 読んでくださり、ありがとうございます!かなり前に書かせていただいたものなので、今も読んでくださる方がいて嬉しいです! (2022年12月29日 9時) (レス) id: e568b5485d (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 更新お疲れ様でした。投稿してくれてありがとうございました。本編でも、特に番外編でも涙を流してしまいました。とても素敵で感動的で、桂小太郎がさらに好きになりました。出会えてよかったと思える作品です。 (2022年12月11日 4時) (レス) @page44 id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 亜麻音さん» ありがとうございます!楽しんでいただけて嬉しいです!! (2021年8月5日 20時) (レス) id: 226626a196 (このIDを非表示/違反報告)
亜麻音 - 私ズラ大好きなんで、この話見つけたとき凄く嬉しかったです!素敵なお話をありがとうございました。 (2021年8月5日 15時) (レス) id: 0cca164e31 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます!確かに桂さんオチ少ないですよね…!私も書いててとても楽しかったので、また書かせていただきます! (2018年3月13日 11時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年4月11日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。