数年ぶりに ページ25
ーノーサイドー
ーーーー夜の海。
既に使われていない、廃れた港が面するそこに
一つの影が浮かび上がった。
「ーーーあの船だな」
港に並ぶ廃屋の影からそれを見守る峯田吉蔵は
愉快そうに口角を上げた。一筋の紫煙を吐き出し、小さな船が港へ到着するのを見守る。
風もなく穏やかな海は、優雅に波を揺らし、
順調に船を港へ押し寄せた。ーーーどうやら、
今夜は、絶好の取引日和であるようだ。
・・やがて、静かに停船した。
「ご苦労だった。ーーでは、始めるぞ」
周りを照らすのは、月光のみ。
ガタイのいい大男達が、その明かりを頼りに
せっせと荷物を運ぶ様が、海面に反射し、
怪しげに揺らめいた。
丁寧に梱包されたその荷物の中からは、
ガチャガチャと硬い物騒な音が、やけに大きく
鳴り響く。
その様子を悠々と見つめていた峯田に、
ーーーもう一つ、大きな影が近寄っていた
「・・・何だ?」
予定外に数人の足音を聞き取った峯田が、
辺りを見渡した。部下達が運搬を進めるなか、
鋭く暗闇に目をこらす。次の瞬間_____
「ーーーそこまでだ」
峯田の首元には、闇夜の中で鋭く光る刃が
当てられていたのだ。
「御用改めである。・・峯田吉蔵とその部下、
銃刀法違反、及び違法密売容疑で
現行犯逮捕する。神妙にしやがれ」
「ッ、警察か!?」
キセルを投げ捨て、その場から逃れようとした
その男の体は、あっけなく、黒服の集団に取り押さえられてしまい。
ーーー取引現場もまた然り。
「テメェら!船内の輩も逃すなよ!」
「やれやれ、思いの外手応えがなかったぜィ。
武器商人だってのに、全員丸腰でさァ」
「それだけこの計画に自信があったんだろ。
こいつらの少人数っぷりを見りゃわかる」
「ま、過信は身を滅ぼすってことですねィ」
肩をすくめてつぶやいた沖田に、土方が
無言の同調を示す。
ーーー・・満月が照らす月夜。
港は、数年ぶりに騒がしさに包まれていた。
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シュシュ☆☆(プロフ) - さざんかさん» 読んでくださり、ありがとうございます!かなり前に書かせていただいたものなので、今も読んでくださる方がいて嬉しいです! (2022年12月29日 9時) (レス) id: e568b5485d (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 更新お疲れ様でした。投稿してくれてありがとうございました。本編でも、特に番外編でも涙を流してしまいました。とても素敵で感動的で、桂小太郎がさらに好きになりました。出会えてよかったと思える作品です。 (2022年12月11日 4時) (レス) @page44 id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 亜麻音さん» ありがとうございます!楽しんでいただけて嬉しいです!! (2021年8月5日 20時) (レス) id: 226626a196 (このIDを非表示/違反報告)
亜麻音 - 私ズラ大好きなんで、この話見つけたとき凄く嬉しかったです!素敵なお話をありがとうございました。 (2021年8月5日 15時) (レス) id: 0cca164e31 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ゆかさん» ありがとうございます!確かに桂さんオチ少ないですよね…!私も書いててとても楽しかったので、また書かせていただきます! (2018年3月13日 11時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年4月11日 0時