【赤髪の白雪姫】紅く色づく銀世界

#29 ウィスタル城の薬室 ページ30

『ん...ここは、？』


見知らぬベッドの上で目が覚めた。


(私...花畑で休んで、倒れて...そうだたしか、
美しい金髪の人が助けてくれたんだっけ...)


あの人は"城"って言っていた。



コンコンコンッ



ガ「失礼。ｰｰｰおや、お目覚めのようですね」



今より少し若いガラク薬室長だった。
まだ髪はそんなに長くなくて、ポニーテールをしている。



『あの！助けて頂いて本当にありがとうございます。
それで、ここは......？』


ガ「お礼には及びません。

ここはウィスタル城の薬室です。
ある御方がここまで運んで下さったのですよ。」


『ウィスタル城って...』


ガ「ここは王都 ウィスタルです。そして貴方を運んだのは
クラリネス王国第一王子の、イザナ殿下という方です。」


『なっ！』


(イザナって...あの人たしかに言ってたかも......
でもまさか 国の第一王子！？

急いでご挨拶に行かないと...けど、その前に)


『あの、貴方のお名前を伺ってもよろしいですか？』


ガ「ああ、失礼しました。
私はガラク・ガゼルトと申します。

あなたの話はイザナ殿下から聞いております、A様。
ミラシア領のご令嬢ですよね」


『ええ...貴方 白衣を着ているし、薬室にいるって事は
薬剤師の仕事をしているのだと思うんだけど...

ティアリス島での事はご存知でないのですか...？』



恐る恐る聞いた。だって、あまりにも普通に接するから...



ガ「もちろん、存じておりますよ」



！！！！



それなのに、こんな...
知り合ったばかりの相手に、暖かい優しさを貰ったのは
一体いつぶりだっただろうか。

緩んでしまいそうな涙腺をぐっと堪えた。

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