俺は見守る側でした。 ページ23
「好きだよ！！」
そう叫べば、珀は立ち止まった。
恥ずかしくて、苦しくて、逃げ出したかったが、震える声を抑えて、俺は言った。
「好きだよ、有澤君の方が御前にあってるだなんて、思う訳ないだろ。珀には俺を好きでいてほしい、それが我が儘だって、わかってる。でも、俺は、俺は！ 御前が好きなんだ、どうしようもないくらい、好きなんだよ！」
涙が溢れてとまらなかったし、止めようにも、止められなかった。
暫くの間、沈黙が続いた。先に沈黙を破ったのは、俺ではなく、珀だった。
珀は後ろを振り向けば、何時もみたいな笑顔で言うのだった。
「俺だって、氷が好きだ。前、吊り橋効果とか言ってたけどな」
此方に向かって来ながら、珀は言葉を続ける。
「吊り橋効果じゃない。俺は、御前に会ったときから好きだったよ。事故でもなんでも、キスできたときは嬉しかった。それに、チャンスだと思った。氷に思いを伝えられるって……怖かったし、拒絶されたらどうしようかとも思った。でも、御前、可愛すぎだから、もう、全部、どうでもいいかな、って思うだろ」
俺の目の前でそう言えば、珀は、俺の涙を拭った。
「泣きすぎ」
笑って言う珀の顔は、とても格好よかった。
「うるせ、馬鹿」
涙は止まらなかったが、それでもなんとか、笑うことができたと思う。
嗚呼、俺はどうしようもない馬鹿だ。
珀がどんなに俺の事を思っているかなんて、何も分かっていなかったのだから。
廊下の窓から入ってくる夕陽は、とても暖かく、綺麗に、珀を照らすのだった。
「俺でよければ、付き合ってくれませんか」
俺の前に手を差し出して、相変わらずイケメンな顔で微笑んで、低温ボイスで、優しくて、他にも言いいたりないくらいに、珀が好きだ。
「嫌って言うわけ、ないだろ」
涙を拭いて、珀の手をとれば、思いっきり引っ張られ、抱き寄せられた。
「捕まえた、もう離さない」
なんていいながら、普段とは違う顔で子供っぽく珀は笑う。
耳元で囁かれる声が、何処か心地よかった。
俺はまた
「馬鹿、本当、馬鹿」
と、いいながら涙を流して笑った。
俺は見守る側、でした。
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りんご(プロフ) - 誤字ごめんなさいw (2019年10月28日 20時) (
レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 腐男子視点の小説はあまり見ない方でしたが、少しもどかしい感じも含めて、とても面白がったし、いいお話だなと思いました！これからも頑張ってください！！ (2019年10月28日 20時) (レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
群青色の五月雨(プロフ) - 薄氷さん» コメント二度もありがとうございます！！ やっと完結しました。ここまで見てくださりありがとうございました。誉めてもらえて嬉しい限りです。薄氷さんも小説頑張ってください！応援してます。 (2018年1月5日 16時) (レス) id: 227c123589 (このIDを非表示/違反報告)
薄氷(プロフ) - 完結おめでとうございます！！最後の最後まで面白くて、萌えが凄くて、素晴らしかったです、語彙力がなくてすみません。絵も楽しみにしています、完結、お疲れ様でした。 (2017年12月23日 14時) (レス) id: 6feeadb499 (このIDを非表示/違反報告)
群青色の五月雨(プロフ) - 真城双葉さん» 読みにくい小説ですが、読んでいただけらなら嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2017年12月10日 2時) (レス) id: 227c123589 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：群青色の五月雨 | 作成日時：2017年5月28日 15時
