検索窓
今日:40 hit、昨日:19 hit、合計:509,731 hit

番外編.有能妻の日常 ページ34

.





炎柱を継承して、早数ヶ月。




今日も今日とて鬼を狩り、

クタクタになりながら炎柱邸に帰宅した。


そしてそれを迎えるのは。





「おかえり!!A!!」


「…ただいま、杏寿郎」





何故か割烹着を着た、愛しの旦那様。





「どうしてそんな格好をしているのか、聞いたほうがいい?」


「腹が減っただろう!もう少し待っていてくれ!」


「うん、そうよね、そうだとは思ったけど」





嬉しそうに笑った杏寿郎に、

それ以上何も言えるはずもなく。


手を引かれるまま、居間へと向かう。


途中見えた台所は、見なかった事にしよう。





「先に風呂に入るか?」


「んー…そうしようかな、」


「そうか!後で一緒に入るか!」


「……うん、そうする」





だんだんと杏寿郎のペースに呑まれている。

もちろん、気付いている。


最近では、この状態…

これが私達の"日常"なのだ。



かつて炎柱として皆を導いた彼は、

今ではこうして、幸せな時間を過ごしたりもする。


そんな杏寿郎を、誰よりも近くで見られるのは
やっぱり、嬉しい。





「…だからって、割烹着…」


「かつてのあの羽織を思い出すな!」


「うそでしょ!?」


「はっはっは!」





柱を退いたとはいえ、

今の杏寿郎も、その実力は衰えず。


先日の宇髄さんとの任務では、
本当に瀕死だったのかと疑われたそうだ。





「何か手伝う?」


「疲れているんだ、座っていてくれ」


「でも、」


「よもや俺が料理もできない男だと!?」





無言で見つめる。

出来ないでしょうが。


ぐっ、と眉を顰めた杏寿郎は、

待っていろ!と掛けて行った。


そんな後ろ姿を見送り、私は思わず小さく笑った。



帰る場所があり、

待っていてくれる人がいて、


こんなにも幸福な時間が、いつまでも続けばいいなんて。

そんなことを、思ったりもして。


"いつか訪れる、その日が来るまで"


私は、その日を掴むために

迷わずに、刃を振るう。


そして絶対に、

生きる事を、諦めない。





「……さつまいもの、お味噌汁?」


「鯛も焼いたんだ!」


「すごい、すごいよ杏寿郎!!」


「!う、うむ!ほら、食べてくれ!」


「いただきます、」





少し照れたように、

それでも嬉しそうに笑う杏寿郎に。



……美味しいよ、と笑った声が震えたのは

ここだけの話にしておこう。








.

※→←※あとがき



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1064 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1579人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

香澄 - とっても面白いです!!今日の朝は電車で笑いを堪えながら見ていました笑。更新頑張ってくださいね! (2月19日 21時) (レス) @page8 id: 130dd00968 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます、分かりにくくてすみません、わざと火の表記にしています。日の呼吸について詳しく明かされていない状態での会話になるので…… (7月22日 14時) (レス) @page22 id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - 失礼かとも思うんですが、火の呼吸じゃなく日の呼吸ですよ! (6月19日 22時) (レス) @page22 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
- 何度も続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 番外編.有能妻の日常のここの部分 待っていろ!と掛けて行った。 これ正しくは駆けて行ったではないんでしょうか? (2021年11月2日 1時) (レス) @page34 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
- またまた続けてのコメントですみません。。。 物語一気に読んじゃいました。 この物語では煉獄さん生き延びることが出来て良かった です。。。 その後のお二人のことが気になります。 (2021年11月2日 1時) (レス) @page33 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユリア | 作成日時:2021年2月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。