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帰る場所。 ページ15

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鬼殺隊に入ると決めた時。



鬼をこの世から滅殺できるならば、

自分の命を引き換えにしても構わないと思っていた。


それだけの覚悟を持って、
剣を選んだつもりだった。




そんな私の世界を変えたのは


太陽のように熱く燃えるような、あなただった。





「ただいまー……と、杏寿郎は任務か、」





灯のない屋敷に戻り、

縁側に腰を下ろし、ため息をついた。


結局三週間近くもかかってしまった。


解放されたのも夜更けだ。

案の定杏寿郎は仕事中のようだ。





「…残念。やっと会えると思ったのに」





私がいないと、生きていけないと言った。


でもそれは、もはや私にも言えることだ。



杏寿郎のいない未来は、
今の私にはもう、想像もできない。



帰るべき場所など、なかったはずなのに。


今ではここが、

杏寿郎のいるこの家が、


私の、帰る場所だ。





「…おかえり、杏寿郎」





待ち焦がれたその姿に、私は笑ってそれを口にした。


杏寿郎は、固まっている。

まるで幻でも見ているような顔だ。





「…私には、言ってくれないの?」


「っ!ただいま!!おかえり!A」


「ふふっ……ただいま」





嬉しそうに笑顔を浮かべて、

勢いよく抱きついてきた杏寿郎。


受け止めきれず、そのまま後ろに倒れてしまった。

…痛い。





「おかえり…!おかえりA…!!」


「うん、ただいま。…重いよ、杏寿郎」


「会いたかった…!」


「…私も!」





ぎゅうっと抱きしめ合いながら


幸せだなぁ、と、

心から思った。





「宇髄に触れさせなかったか!」


「そもそも宇髄様にその気はないよ」


「他の隊士とも何もなかったか!」


「当たり前でしょ。ちゃんと鬼も斬ったよ」


「そうか!さすが俺の妻だ!」


「お褒めに預かり光栄です」


「抱いてもいいだろうか!」


「いきなり?」





返事を聞く前に

ひょいっと抱きかかえられ、屋敷の中へと連れて行かれる。


…約束してたし、仕方ないか。


でも、その前に。





「お風呂入りたい」


「む!…一緒に入るなら許可するぞ!」


「杏寿郎の許可制なの?」


「一秒でも惜しいからな!」


「…わかった、一緒に入ろ」


「うむ!」





嬉しそうに笑った杏寿郎に


あぁ、帰って来たんだなぁと

私の心は、幸福感で満たされていた。





.

全部が幸せ。→←閑話休題。



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香澄 - とっても面白いです!!今日の朝は電車で笑いを堪えながら見ていました笑。更新頑張ってくださいね! (2月19日 21時) (レス) @page8 id: 130dd00968 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます、分かりにくくてすみません、わざと火の表記にしています。日の呼吸について詳しく明かされていない状態での会話になるので…… (7月22日 14時) (レス) @page22 id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - 失礼かとも思うんですが、火の呼吸じゃなく日の呼吸ですよ! (6月19日 22時) (レス) @page22 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
- 何度も続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 番外編.有能妻の日常のここの部分 待っていろ!と掛けて行った。 これ正しくは駆けて行ったではないんでしょうか? (2021年11月2日 1時) (レス) @page34 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
- またまた続けてのコメントですみません。。。 物語一気に読んじゃいました。 この物語では煉獄さん生き延びることが出来て良かった です。。。 その後のお二人のことが気になります。 (2021年11月2日 1時) (レス) @page33 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユリア | 作成日時:2021年2月13日 23時

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