煉獄杏寿郎 生誕記念。

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後悔など無かった。





鬼殺隊として生きることも、
それ故に命を落とすことがあったとしても、


後悔など、無かった。




心を燃やせ。

限界を越えろ。

俺は炎柱。

煉獄杏寿郎だ。




後悔など、無い。




だから、
君が涙を流す必要など、ない。


俺を想い続けて生きていく必要など、無い。


君を置いて逝く俺に、
囚われて生きていく必要など、無いんだ。




だから、

だからどうか、




どうか、幸せになってくれ。








「……ろう、杏寿郎ー？」
「っ…！！……A、」
「魘されてた。…ヤな夢でも見た？」



ーーどうか、幸せになってくれ。



「……情けないな」
「？？」
「…愛する君の幸せを、他の誰かに任せようとしていたなど」



Aの頬に触れて感じた、温もりに。

胸に広がった、その熱に。


かつて抱いた想いが、本心では無かったと思い知らされる。



「…なぁに、またむかしの夢？」
「うーん、未だにあの頃の後悔を引きずっているとはな！よもやよもやだ！」
「今こうして幸せにしてくれてるんだから、私は何とも思ってないのに」
「…俺も、幸せだ」



合わせた唇に、君は少し照れたように笑って。

ゆっくりと俺を抱きしめた。



「…お誕生日おめでとう、杏寿郎」
「！…そうか、今日は…」
「朝一番に言おうと思ってたけど…へへ、もっと早く言えた」



大好き。
そう嬉しそうに続けて、俺の肩に顔を寄せる。






ああ…そうだ。


そうだったのだ。








後悔など、無いわけがない。










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