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まず最初に力強く肯定してくれたのは遊馬だった。新人祓い屋だからか、それともまだ学生という立場で若いからか、その目には青々としたやる気が満ちている。おそらく遊馬は、これだけの祓い屋が集まった事で何か大きな事が起こるのだろうと確信していたんだろう。
「私も同意だ。それに、主人が楽しそうにしている理由も気になってしまっていてね。」
次に柔く笑いながら応えてくれたのは喜多だ。ベテラン祓い屋でありながら、物腰柔らかく、威厳もありつつもその穏やかな雰囲気が「優しいお爺さん」の様で、それが場を和ませる。ベテランが肯定してくれた事に、遊馬も心なしか嬉しそうに頬を緩ませた。
「俺も気になります。狐屋敷の主人が一体何を俺たちに隠しているのかな…って。」
にこり、と綺麗な笑みを浮かべた独狐が周りの祓い屋たちにも「気になりませんか?」と気さくに話しかける。若干胡散臭いと感じなくないわけもないが、丁度隣に並んでいた廉はぴくりと肩を跳ね上がらせ、話しかけられるとは思っていなかったのかおずおずと返した。
「あ、そうですね…。気になります。初めて会う祓い屋さんも多くて……。」
「あぁ、確かに。初めて見る顔も多いな!あたしはヤコ!ご存知の通りただの祓い屋だ。よろしくな!」
急に、隣で大きな声が聞こえて、またぴくりと肩を揺らした廉であったがそんな事はお構いなしに天衛は続ける。
「まさかこんなにも祓い屋が集合しているとは思ってもいなかった!余程大きな仕事という事だろうか?」
皆が皆、主人の口から言われるであろう言葉に期待していた。其れこそ、天衛の一言でそれは頂上に達し、「大きな仕事」は一体何かと視線を送る。
主人の布面が少し揺れた。口元でも動かしたのだろうか、勿論表情は伺えない。しかし、何かを言おうとしているのだけは伝わった。
「今日収集した理由と云うのは……」
こくり、と誰かが息を飲んだ。やけに静かで、皆が耳を主人に傾ける。一言一句逃さないという様に、黒狐も主人を見つめた。
「皆んなでハロウィンパーティをしないかい?」
零されたその言葉は、あまりにも拍子抜けであった。
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