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*



「さ、着いたよ」



「?ここは?」



「藤井寺球場跡地」



「え?」



「1989年の日本シリーズ。3年敗から4年勝の大逆転優勝の舞台」



「夢のような場所!」



「…え?」



トト子が思っていた夢のような場所とは程遠く、
笑顔な十四松パンとティンカーイチとは反対に困惑の顔をしていた。
そんな少女に気付いていないのか十四松パンはトト子の手を掴んで空を飛ぶ。



「「あははっ!あははっ!あはははははは!」」



十四松パンとティンカーイチの二人は仲良く笑顔を浮かべていた。



そして次の場所に着き、周りには土やショベルカーもあった。



「さ、着いたよ!」



「ここは?」



「岡山県日本原」



「え?」



「ここで取れた黒土が甲子園の土の一部に使われてるの」



「夢のような場所!」



十四松パンは地面にあった土を手ですくってトト子にあげる。

土を貰っても何も嬉しそうな笑みすら零していないトト子。
寧ろ、混乱という文字が似合うだろう。

そして十四松パンはまたトト子の腕を引いた。



「「あははっ!あははっ!あはははははは!」」



「…………」



先程から夢のような場所に行けずに笑う二人を怪訝そうに見るトト子。
しかし、二人はそんな彼女からの視線に気付かずに
ずっと笑いあっていたのだった。



そして、3人はある場所へ到着した。



「さ、着いたよ!」



笑顔な十四松パンとは違い、トト子は虚ろな目で見ていた。



「ドミニカ!カーフアカデミー!」



「最高!ゾリアーノ大好きぃ!」



「夢のようなばじょ…っ!」



まさかのドミニカ共和国。
十四松パンは涙を流しながら嬉しそうに見るティンカーイチと
カーフアカデミーを見ていた。

最早、夢のような場所というのはトト子にとってではなく、
十四松パンにとっての夢のような場所ではなかろうか。



「じゃあね!」



そう言って十四松パンとティンカーイチは去っていき、
トト子を置いてけぼりにした。



「……え!?」



フリーズしていたがトト子は瞬時にこの状況を理解した。



「いやぁぁぁぁっ!ドミニカに置いて行かないでええええ!!!!」



トト子の悲鳴は誰にも聞こえはしなかったのだった。

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作者名:びた一 x他1人 | 作成日時:2022年8月12日 12時

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