記録その拾壱 ページ12
『……お前、実は目が見えてるんじゃ。』
「いや、見えてはいない…」
暫く此処に留まることを産屋敷に伝えると悲鳴嶼に稽古をつけて欲しいと頼まれた。
悲鳴嶼はかなりの努力家で牢から出た時よりも随分と体つきが良くなり、力もついたのだが…
「…南無阿弥陀仏…」
『……また始まった…』
お経もセットで付いてきた。
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「…Aは底なしか…ッ」
『いや、そんなわけないだろ。俺は毎日鍛えてただけ。』
「…岩を片手で持つ奴が…何を言う…」
岩をひょいと持つと有り得ないような顔をされ、Aは静かに元の場所へ戻す。
『えっと、…』
Aは紙を睨みつけ、手を叩く。
言おうとしていたことを思い出したのだ。
『行冥。お前は、藤襲山に行って無事に帰ってくること。』
「!!では、」
『お前は強い。どんなものかは知らねえけど最終選別は絶対に合格できる。帰って来いよ。』
「…あぁ、…必ず。」
______君が人を守る為に戦ったことを私は知っているよ
______君は人殺しではない
産屋敷にそう言われ、溜まった思いが溢れんばかりに悲鳴嶼はその場に泣き崩れたのをAは思い出す。
あれから数ヶ月、弱音を一切吐くことなくやり遂げてきた悲鳴嶼にAは微笑んだ。
「お前は…暖かいな。」
『?俺がか。』
「あぁ、居心地がいい。お館様も、お前だから傍に置くのだろうな…」
そう言うと、Aは珍しく笑い声を零す。
今の何処がおかしいのかという表情で悲鳴嶼は見る。
『耀哉は優しいし、心が綺麗過ぎる。俺だから、とかじゃねえよ。俺は耀哉といていい人間じゃない。』
「…」
『前に話しただろ、この世界の人間じゃないと。お前が思っている以上に俺は酷いこともしてきた。…人も、殺めた。俺の手は穢れている。「もういい。」』
「もう話さなくていい。…私は今のお前がいい。」
『…』
「それに、今のお前は十分に優しい。」
『…』
「…照れているのか。」『うるせえッ!!』
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メリエリ(プロフ) - 凄く面白くてお気に入りです!続きはつくらないのですか? (2021年7月13日 19時) (レス) id: 3b02c3cd6d (このIDを非表示/違反報告)
ry_ily(プロフ) - こんばんは!もう更新はされないのですか??とてもいい作品でもっともっと読みたいです!!更新待ってます! (2020年5月15日 0時) (レス) id: c05f4833c8 (このIDを非表示/違反報告)
RUGI(プロフ) - 伊之助推しさん» ありがとうございます!神作品だなんて本当に嬉しいです!!これからも更新していくのでよろしくお願いします!! (2020年2月24日 23時) (レス) id: 23a9fd6e5d (このIDを非表示/違反報告)
伊之助推し - 神作品すぎる、本当にこれ好きなので続木楽しみにしています。 (2020年2月14日 23時) (レス) id: 5a7580d6d4 (このIDを非表示/違反報告)
RUGI(プロフ) - Ecarlateさん» コメントありがとうございます!記録その廿伍に少しだけ書いてあるのですが夢主をおびき寄せるために無惨から呪いを解かれていたという設定です、すみません文章が不足していました汗 (2020年2月2日 17時) (レス) id: 23a9fd6e5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RUGI | 作成日時:2019年12月27日 21時