Jeanne27. ページ27
+
「___中也さん、私の事を酒だって例えましたよね」
中也は無言のまま大きな窓から見える横浜の街を
遠目に見つめていた。
ジャンヌは続ける。
「___勢い良く、大量の酒を飲み干したら
肝臓や脳を駄目にする。
酒とか惚れ薬とか何とか…___」
泣きすぎて痛む頭を無理矢理起こしてベッドから出た。
窓ガラスに触れた手が冷たかった。
「言ってしまえば、酒も、薬も
人間にとって毒でしょ?
___私、毒ですか?」
ジャンヌは恋煩いを背負う。
憂いで濡れたヴァイオレットが輝きを増していた。
中也は其の姿に見惚れ言葉を失う。
動揺しポケットから煙草を取り出して先端を炙った。
指先が、ジャンヌの美しさに震えている。
「…太宰さんだけなんです
ジャンヌでもなく毒でもない
私を私と呼んでくれた人…。」
私を何者にも例えず
私を定義してくれる唯一の人___
「___でも、もう会えない」
目線を逸らして悲しみに喘いだ。
その瞬間、肩に重く暖かい何かがのしかかる。
「悪かった」
「____悪かった…A」
背後から中也さんにきつく抱き締められていた。
胸元に零れる吐息が、私を惑わせる。
嗚呼、息が詰まりそう____。
____窮屈な横浜の街で揺らいでいる熱帯魚の光
熱を帯びた夜空の向こう側に、私は行きたかった。
「気の迷いだ、A」
「___気の迷い?」
___すぐに忘れる。中也さんはそう付け加えた。
__
あの他人への感情が気の迷いだと言うの?
___あの人が私の世界を変えてしまったのに。
私をこんなんにした責任を取って欲しい
__
中也さんは優しい人___
だけど仕事に対しては非情で
私を閉じ込めろと命令されたら実行する。
「悪い、もう無理だ」
蝶に触れるように優しく後頭部に手を掛け
獲物を捕食するような口付けを受けた。
__グラス越しにピンぼけする世界で
真っ逆さまに夜の水槽に落下する何も知らない金魚。
ドレスのチャックに手をかけたその瞬間、
シャンパンの夜に沈められていく。
窮屈そうな表情をしたAの首を優しく絞めながら
中也は唇を喉へとつける
604人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します!私、逆ハー大好きなんで嬉しいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2023年3月5日 19時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - ちっぽけさん» あああああフラグ立っちゃたんですか(震え声)了解です!笑 (2018年3月1日 4時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - 初季さん» 最初はこの作品、フラグなしだったんですけどフラグがたってしまって…その時に頑張って回避しようとしてた言葉ですね笑 そうです、その言葉であってます汗 (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!(><) (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - こびぐすりとはび やくのことでしょうか…?フラグ防止でわざとだったらごめんなさい(><)面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2018年2月26日 0時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちっぽけ | 作成日時:2018年1月17日 0時