マイクを置いて。

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重岡side





あの日から。Aが歌えなくなった日から俺のパートはAと少し入れ替わった。





重岡「好きだよ。ねぇ好きだよ。君のことが。それさえも言えずにいたけど。」





このパートを歌うと思い出す。
Aが苦しそうな顔できみへのメロディーを口ずさんで姿を。





明日は大阪でオーラス。
明日こそAは歌ってくれるかなって心のどこかで思ってる。





貴「しげ、今日もよかったよ!」



重岡「ほんまに?ありがとう」





流星とはもう普通に喋るようになったけど、ちょっとぎこちない。Aは笑顔が増えたけどそれはいつ壊れるか分からない。





重岡「なぁ、いつ歌えるんかな?」





貴「いつになるんだろうね…もう来なかったりね」






隣を見るとAは寂しそうに笑ってる。
俺はそんなAがいたたまれなくなって思わず抱きしめていた。





貴「ちょ…と笑なに？どうしたの？」





重岡「俺の前から…おらんくならんとってな。」






昨日嫌な夢を見た。Aが俺の前から姿を消して居なくなる夢。ステージから落ちてもう戻ってこない夢。





貴「だい…じょぶだよ。」





重岡「そんなわけ…ないよな」






俺はAの身体を離し、にっと笑って見せた。





重岡「明日のオーラス、頑張ろな！」




貴「うん！気合い入れていこうね！」





俺はこの時は知らんかった。
昨日見た夢が現実になってしまうってことを。

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