叶わぬ恋に終止符を！【相澤消太】

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「……わ…悪かった、ですね…」


言えた。言えた私…！

言葉を発せただけで自分を褒めてもいいと思えるくらい動揺が止められない。




ゆっくりと頭を撫でていた先生の手が下がり

骨張った少し荒れた手がフェイスラインにそっと触れ止まった。


少し柔らかい表情の相澤先生と
真っ直ぐに合ってしまう視線から離れられなくて

こちらの反応を確認するよう
ほんとに少しずつ近づく先生の顔。


私だってもう大人だ。
この後どうなるかくらい分かる……

なんのタイミングなのか
なんで今なのか
そもそもなぜするのか……

掴めないこの状況に
回らない思考が何故か冷静で
何処か他人事みたいに感じる。


近づいてくる先生の顔は優しいけれど、どこか意地悪な笑みを含んでいて

楽しんで見られてるのが妙に癇にさわった。



「……したいならさっさとすれば良いじゃないですか」


「お前ほんと可愛気ねえな…」


呆れた顔で言いつつもそのまま顔を近づけた先生の唇と重なった。


罪悪感からの思い出づくりにこの人はどこまでするつもりなのだろう……


そんなことを考え目を閉じる。



離れた唇に瞳を開けるより早く
もう一度角度を変え重なった唇。



もうどうにでもなれと先生の首に腕を回せば
後頭部に触れた先生の手に引き寄せられ0距離がさらに近づく。


誰かとこうすることは初めてじゃない。
なんならその先すらかなり昔に捨てた。


のに……

なんだろう。

高まってしまう鼓動と熱に頭の中まで溶けてしまいそうになる。


先生が上手いとか先生だからとか…そうじゃない……認めない。

きっとこういうのが久しぶりなせい……。




ゆっくりと離れた唇に
うっすらと瞳を開ければ

開ききらない視界は満足そうな顔をする相澤先生でいっぱいになる。


触れ合っていた口同士を繋ぐよう細く伸びた唾液がプツンと切れた。


不覚にもまた心臓が反応した。








………相澤先生とキス、してしまった。









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