【短編集】やる気は無いけど欲はある【そらる】

おやすみ ページ3

.



そらるside



「えっ、今日会社なの」



「んー、そのかわり明日が休みー」



土曜の昼！と言えば問答無用で昼寝をしようという考えが浮かぶもの



…え、お前だけだって？あっそう



しかし目の前でAはスーツを着て鞄を手に取る



「じゃ、結構遅いかもだから気にせず寝てて」



それだけ言って玄関のドアを開ける、と同時に後頭部に手を添える



そして唇を軽く重ねて耳元に口を持っていく



「っ！？」



「いってらっしゃい、お仕事頑張って」



「…そりゃどうも」



みるみるうちに赤くなる頰を隠しながらドアを素早く閉じるA



「かーわいいなぁ」



あんまり素直になれないところもああいう風に隠しちゃうところも



全部全部大好き



しかしそんな余韻に浸っていると容赦なく鳴り響く通知音



「…え、だれ」



寝るのに、これから寝るのに



完全に昼寝モードの頭を少し動かして、携帯を手に取る



「あー…」



［頑張るから］



それだけトーク画面に映されたAからの返信



「…頑張ってね」



頑張って、いっぱい俺と遊ぼっか



.

いっしょに→←いつもの

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す