第七十一話 ページ27
*煉獄杏寿郎side
あれから救護班が到着し、一般客の手当、そして俺たちの簡易的な手当を施してくれた。
隠たちは俺や麻友の姿を見て、顔を真っ青にさせながら急いで胡蝶のいる蝶屋敷へと運んでいった。
***
杏「よもや、不死川の物だとは知らなくてな!!」
杏「今日は甘露寺が小芭内と楽しそうに甘味処に入っていくのを見た!!」
杏「今日は___」
毎日、毎日毎日毎日。
なかなか目を覚まさない麻友の元へと通った。
俺はもう元気だぞ
あとは麻友が目を覚ますだけだ
君が眠ってからかれこれ二週間も経ってしまった。
竈門少年たちも寂しそうだぞ。
他の柱たちも、日替わりで見舞いに来てくれている。
杏「…約束、したじゃないか」
任務が終わったら、ちゃんと逢引をしようと。
君と行きたいところが沢山あるんだ。
杏「目を…覚ましてくれないか…」
白いベッドに横たわる麻友の手を握り、目を瞑った。
し「煉獄さん……」
今日は胡蝶の番か。
杏「ははは!!麻友!!今日も来てくれたぞ!よかったなぁ!!」
し「…無理して笑わなくてもいいんですよ。みんな、みんな心配しているんです。あの煉獄さんが…あまりにも変わってしまって。」
杏「はは、は…」
笑っているけど元気がない、そう言われてしまった。
今ならわかる。父上の気持ちが。
母上という大切な人を失って、自暴自棄になってしまったあの人の気持ちが。
きっと、麻友はこんな俺の姿を望まないだろう。
声が聞きたい。
優しく笑う君の顔が見たい。
杏「麻友…愛してる。いつになったら、私もだという返事が聞けるんだ…」
し「っ…」
杏「聞かせて、くれ…」
掠れる声でそう言うと、俺はそっと口付けをした。
何年でも待とう。
君が目を覚ますなら。
杏「…生憎、この後任務がある故、今日はこの辺で帰るぞ。また明日来るから。」
眠り続ける麻友を一瞥し、部屋から出ていこうとした瞬間だった。
し「まぁ…!煉獄さん待ってください!!」
杏「む、なんだ胡蝶?」
し「麻友さんが、麻友さんが動きました!!」
杏「!!」
急いで麻友の元へと駆け寄れば、確かにピクッと動く指先。
杏「麻友!!麻友!!聞こえるか!?」
何度も名前を叫べば小さく唸る声が聞こえた。
『や、…かましい……静かにしろ…』
杏「麻友ッ…!!!」
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真季 - 続編おめでとうございます。引き続き楽しみにお待ちしてます。 (2021年10月7日 23時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年10月7日 22時