第五十九話 ページ15
*
杏「…」
『…!煉獄、』
私を守るかのように私を押し退け、前に立つ。
杏「何故手負いの者から狙うのか。理解出来ない。」
猗「話の邪魔になるかと思ったのだ。俺と麻友、そしてお前の。」
『チッ…お前と話すことなどない!!』
杏「麻友の言う通りだ。俺と君が何の話をする。初対面だぞ。俺は既に君のことが嫌いだ。」
猗「そうか…。俺も弱い人間が大嫌いだ。弱者を見ると虫唾が走る。だから…麻友と戦った時は久しぶりに高揚した。」
私を見ながら舌なめずりをする。
はっ…気分がとても悪い。
杏「君と俺とでは物事の価値基準が違うようだ。執拗に麻友に粘着するのも辞めてくれないか。麻友は俺のものだ。」
猗「…!なるほど…。では素晴らしい提案をしよう。お前も鬼にならないか?麻友と共に鬼になれば…永遠と共に生きられるぞ。」
「『ならない。』」
杏「見ればわかる。お前の強さが。麻友と同じ柱だな?その闘気練り上げられている。至高の領域に近い。」
杏「俺は炎柱、煉獄杏寿郎だ。」
猗「俺は猗窩座。」
まずい…煉獄に興味を示している。
このままでは、煉獄も…
そんなの嫌だ。
猗「杏寿郎。何故お前が至高の領域に踏み入れないのか教えてやろう。人間だからだ。老いるからだ、死ぬからだ。鬼になろう杏寿郎。そうすれば、百年でも二百年でも鍛錬し続けられる。強くなれる。」
煉獄に手を差し出し、あの時のように鬼になろうと誘う。
煉獄が鬼に?
なるわけないだろ。
その前に、私がさせない。
『…柱をナメるな。百年、二百年…?私たち鬼殺隊は、お前たちを倒す為に出来た。お前たちがいなくなれば、私たちは強くなる必要は無い。』
私の言葉に、また笑みを浮かべる。
猗「鬼になれば俺の女にしてやろう。お前のように強い女は俺好みで良い。」
『戯言をッ「黙れ。」…!』
煉獄から殺気が漏れ出す。
私の声を遮り、猗窩座を睨みつける。
杏「老いることも、死ぬことも、人間という儚いものの美しさだ。老いるからこそ、死ぬからこそ、堪らなく愛おしくなる。尊いんだ。強さというものは、肉体のみに使う言葉ではない。俺は麻友と共に生き、共に老いて共に死ぬ。麻友は渡さない。ふざけたことを言うな。」
『っ…///』
この状況にも関わらず、頬を赤らめてしまう。
こんな時まで心を乱してくるのはやめて欲しい。
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真季 - 続編おめでとうございます。引き続き楽しみにお待ちしてます。 (2021年10月7日 23時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年10月7日 22時