第四十話 ページ42
*
颯「こんな雨じゃ、誰一人として助けに来てくれませんよォ…期待するだけ無駄なんです…ほら、早く。早く死んでください。」
『な…ッ…』
胸元に手を入れたかと思えば、喜怒川の手に短刀が握られていた。
颯「おやすみなさい。雨柱様。」
ニコリと笑った喜怒川は、思い切りそれを振りかざす。
『ッッッ!!!』
もうダメだ、そう諦めかけた瞬間の事だった。
「炎の呼吸__弐ノ型 昇り炎天ッ!!!!」
突然私と喜怒川の間に走る炎の刃。
そして、私の目の前には見覚えのある炎の羽織が。
颯「ゔぁぁッ…!!」
私の上にいたはずの喜怒川は、襖の奥の奥へと吹っ飛ばされていた。
遅い、
『ッれ……ッ…』
杏「随分と待たせてしまった。どこも怪我はしていないな?」
『ッはッ…あ、ぁ…ッ…』
杏「分かった。もう話すな。少し休め。」
私の額に口付けをし、煉獄は喜怒川に視線を戻した。
いつもの笑顔は消え、瞳孔を開いたままジッと見つめている。
私でも分かるほどの殺気。
黙っているから分かりずらいが、煉獄が珍しく冷静さを失っている。
颯「ッ炎、ッ…ばしらッ…いつの間にッ…!!俺の邪魔をするなッッ!!!」
杏「俺は言ったはずだ。麻友に危害を加えようものなら君の命は無い…と。はなから君のことは信用していない。しかし、ここまでするとは思っていなかった。実に不甲斐ない。愛しい女性も守れないようでは煉獄の名が廃る。穴があったら入りたい。」
颯「ッぐッ…」
杏「君はどうも勘違いをしているようだが…麻友は他の誰のものでもない。俺のものだ。君に渡したつもりはもとない。”貴様”…覚悟は出来ているんだろうなッ!!!!」
『…!!』
声を荒らげ、喜怒川に刃を向ける。
ここまで怒っている煉獄は初めて見た。
止めなければいけないのに、視界は霞むし、身体が動かない。
『れ、ッ…んごくッ…ッ…こ、ろしてはダメ、だッ…』
煉獄が罪人になってしまったら意味が無い。
きっと、雨小宵が誰かを呼んできてくれているはずだ。
誰でもいい。煉獄を止めてくれ。
大事にならないよう願いながら、私は意識を手放した。
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真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時