第三十八話 *注意 ページ40
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『雨……』
喜怒川が現れて5日目の朝。
今日は雨が降っている。おまけに雷まで。
…相変わらず煉獄からの連絡はない。
討死したという連絡もないから…きっと大丈夫なんだろう。
雨の日はあまり動かない方がいいのだが、今回ばかりは状況が違う。
屋敷にいる方が危ないのだ。
冨岡の屋敷のあの気配は、結局誰だったのかは分かっていない。
喜怒川だと、私は思っているけどな…
今日まで喜怒川は私の前では怪しい動きは見せていない。
真面目に稽古はするし、継子として必要なこともしっかりとやっている。
時々引っかかる発言は見られるものの…これといって注意するようなところがない…
私の考えすぎなんだろうか。
颯「雨柱様」
『…!喜怒川か…なんだ。』
颯「いえ、雨柱様と談笑したいと思いまして。ほら、そとは雨ですから。どこにも出かけられないでしょう?」
なんて微笑み、私の返事も聞かずに目の前に腰を下ろした。
談笑…
『…私と何を話すつもりだ。』
颯「んー…そうですねぇ…例えば…色恋の話、とか。」
『っ……』
喜怒川の瞳が一瞬だけ怪しく光った。
心做しか呼吸をする音が速い。
『男とそのような話をするような趣味はない。』
颯「え?ははっ!雨柱様は面白い事をおっしゃいますねぇ?そうおっしゃる割には、炎柱様とは随分と親しく話してらっしゃるじゃないですかァ…」
ピリッと空気が張り詰める。
『…ッ何が言いたい』
颯「…羨ましいとずッッッと思っていたんです…ふふっ…貴女の周りにはいつもいつもいつもいつもいつもいつもッ!!あの男が纏わりついて…離れようとしない。気に食わなかったァ…俺だって貴女に近づきたいのに…ふふふッ…」
『お前は…何が目的だ…ッ…』
瞳孔を開いて喉を鳴らすように笑う。
胡散臭いと思っていた笑顔も、今は狂気じみている。
颯「…目的?」
スンッと顔から表情が消え、私を見つめる。
颯「貴女に決まってるじゃあないですかァ…貴女が鬼と戦う姿を初めて見たとき…なんて美しい人なんだと思った…無駄な動きを一切していないのに、舞を舞っているようで…目を奪われたのです。ニコリともしない冷ややかな目も、偶に見せる愛らしい笑顔も、その細い首も、手も、白い肌も、その透き通った水浅葱色の髪も、瞳も全部全部全部全部全部全部ッ!!!俺のものにしたい…ッ…」
頬を赤く染めて叫ぶように言葉を連ねた。
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真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時