第十三話 ページ14
*
上弦が迫ってくる。
立たなければ、刀を取らなければ
そう思っても、身体中の骨が折れて動けない
こんなところで、死ぬわけには…っ…
何とか刀を握ろうと、這いつくばって手を伸ばす。
『ッは、ぁッ…くッそ…ッ…』
猗「さぁ!!俺と共に_ッ…!?」
あと少しで私に触れる、というところで上弦の動きが止まった。
何とか顔を上げて見れば、上弦にしがみつく志雨の姿が。
志「こ、れ以上ッ…姉上に手を出す、なッ…!!!」
暴れる上弦に食らいついて離れようとしない。
やめろ、やめてくれッ…それ以上はッ…!!
『しゅ「俺に触るなッ!!!」ッ…は………』
次の瞬間、私の目の前で、志雨の身体が宙に舞った。
ドサッという音に、その方を向けば
地面に伏せ、ピクリとも動かない志雨の姿がある。
『ッ…う、そ……だッ……ひッ……しゅ、うッ……志雨…ッ…志雨ッッ!!!!!』
地面を這いながら志雨の元へ行く。
何度も何度も名前を呼んで、身体を揺らしても志雨の瞼は閉ざされたままだ。
猗「蹴られただけでそのザマか。最初から始末しておけば良かったな。」
『……貴様………』
猗「ッ…!?今までとは違う殺気が…ッ…」
身体の痛みがスッと消えた。
刀を手に取り、握り直す。
『雨の呼吸_捨ノ型…ッ!!!狐嫁の時雨ぇぇぇッ!!!!!!』
雨の呼吸の奥義。
捨ノ型 狐嫁の時雨。
一気に距離を詰め、そして瞬きをする一瞬で頸に刀を入れる。
コイツが自分の状況に気づいた時には、刀は頸の骨に届きそうになっていた。
猗「ッ破壊殺・滅式ッッ!!!!!!」
とてつもない衝突音と共に、私は吹っ飛ばされてしまった。
あと少し、あと少しだったのに…
猗「ッ…陽が…ッ…!!」
あと少し、足止め出来ていれば…アイツをッ…アイツをッ…仕留められていた、のにッ…
『ま"ッ………てッ……』
届かない。届かないが、それでも必死に手を伸ばし、奥へと逃げていく上弦を捕まえようとする。
『にッ…げ……るなッ……』
呼吸が出来ない。
もう、身体が動かない。
志雨…志雨…っ……
残された力で、志雨の元へ身体を動かす。
私を必死に守ろうとしてくれた、小さな身体を抱きしめる。
暖かい、まだ生きている…まだ、死んでいない…
早く…ッ……誰かッ…
その時、私の頭上で雨小宵の鳴き声がした。
きて、…くれたか…
230人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時