第一話 ページ2
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自分の屋敷にて報告書をまとめていると、始めは淑やかな音を立て、そして直ぐに勢いが凄い雨が降ってきた。
私は雨が嫌いだ。
「雨柱様っ!!!」
『…何だ。』
「継子の_様が討死なされましたッ…!!」
『…。そうか。ご苦労。』
軽く目を伏せ、礼を言う。
陰が姿を消したことを確認すると、硯に筆を置いた。
『…また、一人死んだか。』
雨が降る日は必ず悲報が私の耳に届く。
そして必ずその悲報は私の身内の死だ。
これで何人私の継子が逝ってしまったのだろうか。
何人、私の部下がいなくなった。
土砂降りの庭に、傘をささずに降りる。
庭に咲き誇る紫陽花のー朶に触れた。
何が恵みの雨だ。
人の命を吸い取っていく死神のようなこの自然現象
『…雨なんて無くなってしまえ』
心の中の憎しみを表すように、私は紫陽花を握り潰した。
私の足元には、ハラハラと紫陽花の花弁が散らばっている。
人が死ぬ度に増える紫陽花の花。
私は自分が死ぬまであと何人見送らなければならない。
歯を食いしばり、握り拳をつくる。
父上が亡くなった日も雨だった。
母上が亡くなった日も雨だった。
?「コホッ…姉上…?」
『…!!雨の日は動いてはダメだと言っているだろう…
志「雨の日だからこそ…姉上を放っておけないのです…、お身体に触ってしまいます、早く屋敷の中に戻ってきてください…」
志雨。
私の弟で、今残された私の唯一の家族。
母上に似て、病弱な身体。
この子もまた、私を置いて先にいってしまうのだ。
お前と変わってやれたら良かった。
何度そう思ったか。
『すまない。今戻る。私は濡れているから、志雨は早く布団に戻りなさい。』
志「はい…必ず湯浴みをしてくださいね…?」
『あぁ。』
志雨が部屋に戻るのを見送り、私は屋敷の中へ戻った。
彼だったら…守れたのだろうか。
私の脳裏に浮かぶのは、炎を背負ったあの男の姿だった。
『はっ…これでは雨柱の名が廃るな。』
そんな邪念を振り払い、私は湯浴みをする為部屋を出たのだった。
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真季 - 最新楽しみにお待ちしてます。長くなってすいません汗 (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
真季 - 初めまして。お疲れ様です。最新も早くて楽しみに読み進めて来ました。夢主よ、どうか自分の気持ち正直になって煉獄さんと恋仲になって下さい…!あの鬼殺の男、怪しい匂いが漂ってますね…。彼女に手を出したその時は是非、煉獄さんの赤き炎刀で…! (2021年10月4日 7時) (レス) id: ac0ba7e69a (このIDを非表示/違反報告)
冴凪(プロフ) - とても面白いです!話のテンポも良くてワクワクしながら読みました!更新ファイトです! (2021年9月30日 22時) (レス) @page12 id: 8d3f590c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かふぇらて | 作成日時:2021年9月29日 1時