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息苦しい刹那 ページ49

ぐ、と喉元に突きつけられた刃を握りしめる。


(マジのナイフだったら絶対しないけ、ど!)


翡翠の瞳が見開かれる。ニヤリと笑ってそのまま力任せに引っ張れば、ゾムさんの体がぐらりと微かに揺らいだ。


「なっ……!」


「失礼しますよっ………!」


そのまま勢いに任せて足を払う。綺麗な受け身の形で倒れた体が起き上がってくる前に、腰のホルスターから拳銃を引き抜いた。

――眼前にナイフが迫るのと、真っ直ぐに拳銃を構えたのは同時だった。

互いにすんでのところで止めたそれは一瞬のブレもなく、ひたりとお互いに定められたまま動かない。

下手に動いた方が、負ける。
先に隙を見せた方が、討たれる。

どちらの命も、相手の手の中に握られていた。後はどちらが先に、握りつぶすか。

沈黙が場を支配する。


先手を打つのは、どちらが先か。




――ピンポンパンポーン




『ゾムゥゥゥゥゥゥゥッ!!仕事ほっぽってなにしとんねんお前ぇぇぇぇぇぇ!!』


間延びした木琴のような音と、きぃぃん、と空気を震わせる大声。ふっと翡翠の瞳から力が抜ける。どちらともなく、武器を静かに下ろしていた。
目の前のゾムさんが、やべ、と小さく声を漏らしたのが聞こえた。


『ぜーんぶこっちは見えとんやからな!新入りいびっとる暇あったらさっさと任務行かんかい!!』


「いびってへんわ殺すぞ!!」


空に向かって威嚇をし、はぁぁっと深くうなだれるゾムさん。


「任務あるの忘れとったわー……」


「す、すいません」


用事のお邪魔をしてしまったのでは、と罪悪感が募る。


『新入りさんは何も悪ないで!どうせ勝手に喧嘩ふっかけたのはゾムの方やろ?』


「……なぁA、どないしようか」


無視かお前ー!と声を荒らげる天の声さん(仮)を尻目に、翡翠が真っ直ぐ私を見据える。


「この勝負、お前に預けてもええ?」


にぃ、と笑った彼の口から、ギザギザとした歯が垣間見える。


「……預かるのは、構いません。けど――」


その様子が、まるで捕食者のようだな、なんて。





「――預けたなら、取りに来てくださいね」





自由に戦場を駆ける彼には、失礼だっただろうか。



-命と命のコミュニケーション-



*

一難去って、→←ちかちか、目眩



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ゆう - 返信ありがとうございます!そうなんですね!なんかかっこいい…!! (2020年2月10日 7時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - ゆうさん» 一応「見つけてこい」と「貴方がそれを望むなら」的なことを直訳で言ってもらってます…!翻訳アプリ頼りなので文法的な間違いはおそらくあるかと思われます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年2月9日 22時) (レス) id: 998f9539b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 小さなお返しの最後の方のロシア語って[...夕食でまた]とかの夕食でまたのところを言っているんですか?((伝わらなかったらすみません (2020年2月9日 22時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - リズム天国さん» ご返信遅くなり大変申し訳ないです……!ありがとうございます! (2019年6月8日 9時) (レス) id: 5f4004635c (このIDを非表示/違反報告)
リズム天国 - 面白い (2019年4月8日 23時) (レス) id: 1e030985a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠栞@ゼリー | 作成日時:2018年1月14日 1時

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