軍属傭兵、頑張ります！？

ガーネットの煌めき ページ27

「書類仕事、ですか」


「そうだ。まあデータ整理とでも言おうか？」


存外掠れてしまった声に、けろりとした様子で言ってのける総統閣下。いや書類仕事かデータ整理かっていう部分が論点ではないのですが。


「…………不得手ではありません。得意と言えば嘘にはなります」


気を取り直して少し考えを巡らせた後、これも正直に答える。


「結構。料理の腕前はどうだ？」


「料理……。人並みには」


「ふむ、医療の知識などは？」


「最低限は持ち合わせています。専門分野はからっきしです」


次々と繰り出される問に淡々と答えていく。
核心という核心に程遠い質問の数々に、張り詰めていたものがゆるゆると弛緩していくのを感じた。


「――なるほど、なんでも卒なくこなすという印象だな」


とん、と机を指で叩きながら閣下が零す。
閣下のお言葉に、後ろで控えていたオスマンさんがんふふふと嬉しそうに笑った。


「ええ子やろぉ？できた子やねんホンマに」


「何故お前が嬉しそうなんだ」


「トントンの仕事もきっと減ると思うめう〜」


閣下の質問には答えず、顔の横で掌を合わせて見せるオスマンさん。
単純に褒めていただけるのはとても嬉しくて、少しくすぐったい気持ちになった。


「……よっぽど気に入っとるんやなぁ、オスマン」



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