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鬱くしい蒼 ページ24

「……!?」


「初めまして、僕は鬱。この国の幹部をやっとるもんや。お嬢さんのお名前は?」


「あ、Aと申します……」


「Aちゃんかぁ、可愛ええ名前やな」


いつの間にか目の前に現れていた鬱、様?に驚愕しながらも自己紹介を終える。
ニコニコと笑みを崩すことなくそれを聞き終えた鬱様は流れる様な動作で私の腰に手を添え、くるりと方向転換。


「城下で美味しいお菓子を買うてきたんよ。一緒にお茶でもどない?」


「!?あのっ、自分は今から総統閣下にお会いしに……!」


予想外の言葉に思わずたじろぐ。まるで息をするように自然に発せられた誘い文句は、普通の人なら流れのままに頷いてしまいそうなものだった。


「そうめう〜!」


まふ、と頭に重み。助け舟と共に、どうやらオスマンさん自身がのしかかってきたらしい。


「Aちゃんは今からグルッペンのとこいくの!大先生に構っとる暇はないで!それにお茶会はもう俺としたし!」


「せやぞ大先生!!とりあえずAに近寄るな汚れる!!!」


彼が頭を抱えていたのは、こうなる事が分かっていたからだろうか。
コネシマさんまでもが私に張り付きシャー!と鬱様を威嚇する。


「はんっ、意味も分かってへんのにうるさいチワワやなぁ……」


「あ゙あ゙ん!?なんやとごらぁ!!!!」


鼻を鳴らした鬱様に額に青筋を浮かべたコネシマさんが掴みかかる。

………………えっ、仲間割れ?


「……今のうちやねこれは」


あわわわ……と2人を交互に見やっていると、ぐい、とオスマンさんに手を引かれる。


「大先生はシッマに任せて、俺らは先に進むめう!」


「だ、大丈夫ですかこれ……!?」


「いつもの事やしだいじょーぶ!」


急ぐめう〜!と駆け出したオスマンさんに続いて角を曲がれば、後方から響く地響きと武器が交わる金属音。




――神様仏様まだ見ぬ総統様。
雇われて最初の式典が葬式になるのだけはご勘弁下さい……!!



-虚しい神頼み-



*

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ゆう - 返信ありがとうございます!そうなんですね!なんかかっこいい…!! (2020年2月10日 7時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - ゆうさん» 一応「見つけてこい」と「貴方がそれを望むなら」的なことを直訳で言ってもらってます…!翻訳アプリ頼りなので文法的な間違いはおそらくあるかと思われます。゚(゚´▽`゚)゚。 (2020年2月9日 22時) (レス) id: 998f9539b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 小さなお返しの最後の方のロシア語って[...夕食でまた]とかの夕食でまたのところを言っているんですか?((伝わらなかったらすみません (2020年2月9日 22時) (レス) id: 9aa71b1239 (このIDを非表示/違反報告)
悠栞@ゼリー(プロフ) - リズム天国さん» ご返信遅くなり大変申し訳ないです……!ありがとうございます! (2019年6月8日 9時) (レス) id: 5f4004635c (このIDを非表示/違反報告)
リズム天国 - 面白い (2019年4月8日 23時) (レス) id: 1e030985a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:悠栞@ゼリー | 作成日時:2018年1月14日 1時

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