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二百五十四話 ウィル・オブ・タイクーン ページ8

「成る程のぅ。
異能特務課と云えば国内最高峰の秘密異能組織じゃ。味方とすれば探偵社最大の切り札となるじゃろうな」




敦の説明を受けた紅葉とそう淡々と言いながら、湯呑みを拭く。


説明をした敦は、少し意外そうにこぼした。




「まるで他人事だな。マフィアの幹部なんだろ?」


「……そうさなあ。今すぐお主を斬り殺し、首領へ今の話を報告に参じるべきかものう」




敦の呟きに反応した紅葉は黒い笑みを浮かべ、静かに金色夜叉を発動する。


しかし敦が警戒し、戦闘態勢に入ろうとした直後、紅葉は金色夜叉を解いた。




「と、云いたいが、太宰にそれは禁じられておるのしの」


「太宰さんは貴女に何をしたんだ?」


「それは……とても云えぬ。」

「!?」




今までの反応が嘘のようにポッと顔を赤くし、着物の袖を口元にやる紅葉の様子に、敦はギョッとした。




「何しろ、もう奴の言葉には二度と逆らえぬ体にされてしもうたからのう……」


「(え…えぇえ……!?)」




紅葉の言葉に、赤いような青いような複雑な表情をする敦。


しかし、紅葉はそんな敦を嘲笑う様に華麗に無表情に戻り、言った。




「冗談じゃ」




敦はその言葉にこける。


紅葉はベッドに座り直すと、今度こそ真面目な答えを返した。




「取引しただけじゃ」

「!」


「行方不明の鏡花を見付け出し救うならば、私はそれを大人しく待つ、との」


「取引……?」




敦の問いに、紅葉は少し迷うように押し黙る。


しかし少ししてから、敦の方を見て言った。




「この戦争で鏡花は、じき大勢を殺す」




紅葉のその言葉に敦は目を見開く。




「そうなれば二度と、あの子の望む「陽の当たる世界」では生きられぬ。私が嘗てそうじゃった。

童、鏡花を頼む」









高級な黒い車に乗り込んだ太宰と安吾は、太宰の提案通りドライブをしていた。

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??(???)??(プロフ) - 神作品すぎてここまで読んでしまった……夢主ちゃんどうなっちゃうの!?長生きして欲しい……これからも作者様のペースでよろしくお願いします! (1月9日 21時) (レス) @page23 id: 71a0ede70a (このIDを非表示/違反報告)
花見月 - いつも楽しく読ませてもらっています。アンケートですが、1でお願い致します。 (2021年9月24日 0時) (レス) @page5 id: 216d69af47 (このIDを非表示/違反報告)
びっくりさん(プロフ) - 1がいいです。 (2021年9月22日 21時) (レス) @page5 id: d067fbdc83 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 1が良いです。 (2021年9月22日 18時) (レス) @page5 id: 3b590f766f (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 個人的には1が良いです。 (2021年9月22日 1時) (レス) @page5 id: 91a3e851e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ark | 作成日時:2021年9月12日 7時

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