三十七話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス(後編) ページ38
「貴方探偵社の____!何故ここに」
太宰の登場に驚いた樋口。
樋口がそういうと、太宰はゴソゴソと外套の内ポケットを探りあるものを取り出した。
「美人さんの行動が気になっちゃう質でね。こっそり聞かせて貰ってた」
「……な、真逆」
それを見た樋口は焦って自分の服を確認する。
そこには、盗聴器が入っていた。
「盗聴器!?」
その存在に驚く樋口だが、なんとなく、入れられたタイミングには心当たりがあった。
おそらく、最初に樋口をナンパした時だろう。
そう思った樋口は、では、と太宰に質問した。
「最初から____私の計画を見抜いて」
「そゆこと」
太宰は樋口にそう答えると、倒れている敦の方に向かった。
そして、敦の頬をペチペチと叩きながら、話しかける。
「ほらほら起きなさい敦君。三人もおぶって帰るの厭だよ私。Aちゃんは女の子だから流石にそんなことさせられないし…」
「ま……待ちなさい!生きて帰す訳には」
太宰の様子に混乱しながらも、慌てて太宰に銃を向ける樋口。
しかし芥川は、意外にも樋口を止めた。
「くく……くくく。
止めろ樋口。お前では勝てぬ」
「芥川先輩!でも!」
樋口は反論しようとするが、芥川はそれを無視して太宰に話しかける。
「太宰さん、今回は退きましょう____
しかし、人虎の首は必ず僕らマフィアが頂く」
「なんで?」
「簡単な事。その人虎には____闇市で七十億の懸賞金が懸かっている」
『おお!すご〜い!裏社会を牛耳っても余りある額だねえ』
「景気の良い話だね」
いつの間にか太宰の隣に来ていたAも会話に参加する。
芥川はなお、太宰をじっと見つめて話を続けた。
「探偵社には孰れまた伺います。その時、素直に七十億を渡すなら善し。
渡さぬなら___」
「
やってみ給えよ_____やれるものなら」
太宰は突然真っ黒な笑みを浮かべ、余裕そうにそういう。
それに腹が立ったのか、樋口はいった。
「………ッ。零細探偵社ごときが!我らはこの町の暗部そのもの!
傘下の団体企業は数十を数え、この町の政治・経済の悉くに根を張る!
たかだか十数人の探偵社ごとき___三日と待たずに事務所ごと灰と消える!
そもそも、Aさんが身を置くような場所ではないのだ!
我らに逆らって生き残った者などいないのだぞ!」
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作者名:ark | 作成日時:2021年1月4日 18時