三話 同僚の居場所 ページ4
『うーん、いないなあ治くん』
Aは社を出たあと、ひたすら太宰が流れていそうな川を探していた。
太宰とはお互いのことがわかっているので、仲がいい。
というのも、太宰とAは同時期に入社してきたのだ。
だからか、太宰探しは基本的にAの仕事のようになっている。
『今日はどこまで行ってるんだろ.......あれ?』
太宰を探していたAの目は、一人の人物を映していた。
その人物に、Aは声をかける。
『やっほー!銀ちゃん!』
「!...A」
銀と呼ばれた人物は、Aに気づくと当たりを見回してから返事をした。
「探偵社の人は一緒じゃないんだね」
『うん!その格好の銀ちゃん久しぶりに見たよ』
白いワンピース姿の銀は、Aと話しながら、Aの頭を撫でる。
Aは撫でられながらも、最近よく撫でられることに少し疑問を感じていた。
しかし少しして、自分の目的を思い出したのか、Aは銀に質問した。
『あ、そうだ銀ちゃん、聞きたいことがあるんだけど』
「何?」
『治くん見てない?仕事に来てなくて、多分またどこかで入水してると思うんだけど...』
「太宰さん?」
『うん』
銀は確認すると、記憶を探るように視線を上にあげた。
そうして少ししてから、思い出したように視線を合わせた。
「そういえば、結構川上の方に人が流れてた気がする。異様な光景だったから、見て見ぬふりをしたけど...」
『おお、それは多分治くんだね。情報ありがとう!また会おうね銀ちゃん!龍くんにもよろしく!』
「うん」
Aは大きく手を振って銀と別れた。
銀はそれに、小さく手を振って笑ったのだった。
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作者名:ark | 作成日時:2021年1月4日 18時