十二話 人生万事塞翁が虎 ページ13
「獣に喰い殺される最期というのも中々悪くはないが＿＿＿＿」
「君では私を殺せない」
太宰は手の届く範囲まで虎が迫った時、指先だけを虎の眉間に当てた。
その瞬間大きな虎の姿が消える。
「私の能力は＿＿＿
あらゆる他の異能力を触れただけで無効化する」
人間の姿に戻った敦はフラッと倒れ込み、太宰の肩に受け止められる。
しかし＿＿＿。
「男と抱き合う趣味はない」
と言った太宰にぱっと落とされ顔から地面に落ちた。
『痛そう...』
Aはそう言うと、敦の頭を持ち上げ正座した自分の膝に乗せる。
いわゆる膝枕である。
「え、Aちゃ((「おい太宰！」...........ああ、遅かったね。虎は捕まえたよ」
太宰がAに何か言おうとするも、応援に来た国木田に遮られた。
国木田は敦を見て、驚いたように目を見開く。
「！その小僧.......
じゃあそいつが」
「うん、虎の能力者だ。変身してる間の記憶がなかったんだね」
淡々と言う太宰に、国木田は溜息をつく。
そして後ろ頭を書きながら店で渡されたメモ書きを太宰に見せた。
そのメモ書きには、
“十五番街の西倉庫に虎が出る
逃げられぬよう周囲を固めろ”
と書かれている。
「全く＿＿＿＿＿次から事前に説明しろ。肝が冷えたぞ。おかげで非番の奴らまで駆り出す始末だ。皆に酒でも奢れ」
そう言って、クルッと後ろを振り向いた国木田。
後ろには、国木田の他に三名の探偵社員が立っていた。
「なンだ、怪我人はなしかい？つまんないねェ」
《与謝野晶子＿＿＿＿＿能力名【君死給勿】》
「はっはっは、なかなかできるようになったじゃないか太宰。まあ、僕には及ばないけどね！」
『あ、乱歩さん！朝の予言当たった！明日から頑張るね！』
「うん！頑張って〜！」
《江戸川乱歩＿＿＿＿＿能力名【超推理】》
「でも、そのヒトどうするんです？自覚はなかったわけでしょ？」
《宮沢賢治＿＿＿＿＿能力名【雨ニモマケズ】》
「どうする太宰？一応、区の災害指定猛獣だぞ」
《国木田独歩＿＿＿＿＿能力名【独歩吟客】》
「うふふ、実はもう決めてある」
《太宰治＿＿＿＿＿能力名【人間失格】》
『まあ、だいたい想像は着いてるけどね』
《福沢A
＿＿＿＿＿能力名【高瀬舟】【ごん狐】》
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作者名：ark | 作成日時：2021年1月4日 18時
