三代目J Soul Brothers*短編集 3

ライブ*º隆二 ページ4

ライブが終わり、俺らはステージから姿を消した。



それから何十分かかけてファンの子達が会場を後にする。


俺らも着替えが終わり、もう一度客席に顔を出した。



すると。


「あれ？あの子、何やってんだろ…」


「もうとっくのとうにみんな帰ってるのに」


俺はその瞬間思った。


あの子だ、と…。


そう思っていると、足が勝手にその子に方に向かってた。


「え、おい、隆二！」


みんなの声も聞かず、ただひたすら歩く。


そして、その子の前に着いた。


だけどその子は何かを必死に探していて、俺の存在に気付いていない。



「ねぇ、君」


そう声をかけると、びくっと反応を示した。


「どうしたの？」


「あ、その……友達に貰ったストラップ、落としちゃって…」


それだけ言うと、また目に涙を溜める。


「え、あ、」


少し狼狽えてしまったけど、きっと大事な物なんだろう。


ストラップ一つに涙を流せるような純粋な子なんて早々いないと思う。


「俺も一緒に探すよ」


「え、でも…申し訳ないです…。今ステージ終わったばかりで疲れてるのに…」


俺が誰かという認識はあるみたい。


「いいよ、気にしないで」


それから一緒にイスの下などを探し回った。



その時に、その子の名前はAちゃんということを聞いた。


「あ、ねぇAちゃん、これじゃない？」


俺の言葉に顔を上げるAちゃん。



曇っていた表情が一気に明るくなった。



「はい！それです！ありがとうございました…っ」


大事そうに手のひらで包み、抱き締めている。

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