222.罰 ページ12
望月くんは、楽しそうだ。
さっきからずっと笑っている。
「あはは！もしかして俺が承諾するとでも思ったの？」
「......」
「浅はかだなぁ。そんな事されても無意味だからね？」
もはや私にはもう言う事なんて何もない。
どんな事をしたって、望月くんに阻まれてしまって、私の思うようにはならない。
私の体を自分から離したあとも、目の前でケラケラ笑う望月くん。
例の如く、彼の目の色は冷たくて、笑ってなんかいない。
「第一なに？『好きなの』って二宮の事が？」
「...あ...」
「ふざけてる？」
暗黙の了解だった。
望月くんと付き合う事になったあの瞬間から、和也くんへの本当の気持ちを口に出す事なんて。
「君はもっと賢い子だと思ってたんだよねぇ」
「賢い、って...」
「はは、とんだ勘違いだったよ」
彼の言う『賢い』の定義なんて知らない。
だけど、その一言で彼の頭のネジがボロボロと取れていっているような気がした。
私の脳内信号は、黄色を示している。
「どっちを選んだら君にとって有利なものになるかくらいは分かってると思ってたよ」
澄ました顔をした望月くんは、クルリと私に背を向けた。
それからすぐに会議室の扉へと歩き始める。
「も、望月くん...？」
「......」
「あ、の...どこに行くの？何を、するつもりなの...？」
「質問が多いなぁ」
私の明らかに焦った声色を聞いた望月くんは歩いていた足を止めて、こっちに振り返った。
その顔は、心の底からこの状況を楽しんでいるようで。
背筋がゾワっとした。
「前にも言ったけど、いちいち言わなくても分かるよね？」
「...え？」
「あー...そっか、君は別に賢い子じゃなかったのか」
望月くんは呆れた顔をしている。
「罰を執行しにいくんだよ」
罰。
それはつまり。
「君の大好きな和也くんの前で、大好きな篠田先生とした約束を俺が破ってあげるね」
私の中に存在するたくさんの大切なものが崩壊してしまう、という事だった。
「待って...！」
「今更縋ったってもう遅いよ」
望月くんの前に回り込み、彼の両腕を掴んで必死に止める。
スーツがクシャクシャになってしまうくらい掴んだとしても、望月くんは動じない。
聞く耳を持とうとしていない。
ガチャリ。
とうとう扉が開く音がした。
「会議以外でこの部屋使うのやめてもらえます？」
振り向いた先に居たのは
「和也くん...っ...！」
私の心を掴んで離さない、恋焦がれる人だった。
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早咲(プロフ) - あさみさん» 長ったらしいお話にお付き合い頂き、本当にありがとうございました★私もシリアスな場面を書くときはハラハラしてました(笑)本当にありがとうございました！ (2018年3月25日 17時) (
レス) id: e21b3fe696 (このIDを非表示/違反報告)
あさみ(プロフ) - 完結おめでとうございます。最初から読ませてもらってました。途中の試練でいつもハラハラしてましたが最後は幸せに戻れて嬉しい気持ちでいっぱいです。二宮さんの主人公ちゃんへの気持ちが大好きでした。 (2018年3月24日 21時) (レス) id: 5ffc9374f6 (このIDを非表示/違反報告)
早咲(プロフ) - keiさん» アドバラに登場する恋敵はみんな癖が強すぎましたね(笑)書いてる私も病んじゃいそうでした(^◇^;)二宮くんに関してはもう言うことなしですよね(笑)完結までお付き合い頂き、本当にありがとうございました★ (2018年3月24日 18時) (レス) id: e21b3fe696 (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - 完結おつかれさまでした(*^^*)華ちゃんにもなかなか手こずりましたけど、今回のもっちーは強敵でしたね。歪んだ愛情？って怖い！そんな中、和くんは見守ってくれてたんですね。よかった〜(T0T)さすが心に大皿をもってらっしゃる(笑)幸せなラストありがとうございます！ (2018年3月24日 8時) (レス) id: 6133f4f2c1 (このIDを非表示/違反報告)
早咲(プロフ) - ぐちこさん» 最後までドキドキハラハラが止まらないようなお話の展開で本当に申し訳なかったです(^◇^;)完結までお付き合い頂き、ありがとうございました★ (2018年3月23日 16時) (レス) id: e21b3fe696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早咲
| 作成日時：2018年1月22日 18時
