211.三ヶ月 ページ1
三ヶ月。
その月日が流れるのは、長いようで短かった。
一つのドラマが始まって、最終話までの期間と同じ長さ。
始まった頃にはその新しいドラマには慣れないのに、最終話まで来ると何だか寂しい気持ちになる、そんな不思議な長さ。
私にとってこの三ヶ月は
「望月くん！」
「あ、Aちゃん。仕事終わった？」
「うん、待たせてごめんなさい...」
「平気だよ。行こうか？」
「そうだね」
何物にも形容し難い、虚無的な長さだと思っている。
・
「だし巻き玉子もーらい！」
「あ、ちょっと！相葉くん！」
ある日のお昼休み。
社員食堂で向かい合わせになってご飯を食べていた私と相葉くん。
そして、易々とお弁当の中身を取られてしまった。
「楽しみに取ってたのに...」
「え？嫌いだから残してたんじゃないの？」
「私は楽しみは後に残しておくタイプなの！」
分かりやすく頬を膨らませてあからさまに拗ねる私に、相葉くんはアワアワし始めた。
「オレのゆで卵あげるから...」って食堂で注文した定食に入っていたゆで卵を私のお弁当に加えた。
「ゆで卵で済むならだし巻き玉子なんていらないよ！」
そんな彼に対して、意味不明な言葉を返したのは紛れもなく私。
実を言えば、だし巻き玉子を取られた事に関してはそんなに怒ってなどいない。
ただ単に相葉くんの反応が面白いっていうだけ。
「そ、そうだよね...ごめん...」
「...まぁどうだって良いんだけどね？」
「え？」
「え？ふふ」
「ちょっ...え？怒って...」
「ないよ。安心して？」
そう言って笑いかけると「何だよそれー！」ってヘナヘナと机に突っ伏した相葉くん。
そして机に伏せている彼から「良かったぁ...」って本気の安堵の声が聞こえてきたから、ほんのちょっとだけ罪悪感。
でもやっぱり楽しい。
「だし巻き玉子って美味しいよね」
「...回復早いね...美味しいけども」
さっきまで突っ伏していた筈なのに、もうニコニコ笑顔でそう言う相葉くん。
それがきっと彼の良いところ。
「おせちの残り？」
「うん。実家帰った時に残りを貰って帰ったの」
自分で言って思う。
もうそんな季節なのかぁ...年が開けちゃったのかぁ...って、何とも俯瞰的に。
気が付いた時にはもう、クリスマスもお正月も終わっていた。
結局私はそのどちらの行事も素直に楽しめなかったような気がする。
「...大丈夫？」
「うん、大丈夫」
それは大きな嘘だ。
少なくとも今の私は、一概に大丈夫だとは言えない。
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早咲(プロフ) - あさみさん» 長ったらしいお話にお付き合い頂き、本当にありがとうございました★私もシリアスな場面を書くときはハラハラしてました(笑)本当にありがとうございました！ (2018年3月25日 17時) (
レス) id: e21b3fe696 (このIDを非表示/違反報告)
あさみ(プロフ) - 完結おめでとうございます。最初から読ませてもらってました。途中の試練でいつもハラハラしてましたが最後は幸せに戻れて嬉しい気持ちでいっぱいです。二宮さんの主人公ちゃんへの気持ちが大好きでした。 (2018年3月24日 21時) (レス) id: 5ffc9374f6 (このIDを非表示/違反報告)
早咲(プロフ) - keiさん» アドバラに登場する恋敵はみんな癖が強すぎましたね(笑)書いてる私も病んじゃいそうでした(^◇^;)二宮くんに関してはもう言うことなしですよね(笑)完結までお付き合い頂き、本当にありがとうございました★ (2018年3月24日 18時) (レス) id: e21b3fe696 (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - 完結おつかれさまでした(*^^*)華ちゃんにもなかなか手こずりましたけど、今回のもっちーは強敵でしたね。歪んだ愛情？って怖い！そんな中、和くんは見守ってくれてたんですね。よかった〜(T0T)さすが心に大皿をもってらっしゃる(笑)幸せなラストありがとうございます！ (2018年3月24日 8時) (レス) id: 6133f4f2c1 (このIDを非表示/違反報告)
早咲(プロフ) - ぐちこさん» 最後までドキドキハラハラが止まらないようなお話の展開で本当に申し訳なかったです(^◇^;)完結までお付き合い頂き、ありがとうございました★ (2018年3月23日 16時) (レス) id: e21b3fe696 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：早咲
| 作成日時：2018年1月22日 18時
