セレナーデ -恋歌-

サヨナラの手前 Ryuji.I ページ11

サヨナラの手前 Ryuji.I


また今日も朝を迎える。


寝てないのは誰のせい？


貴方のせい？


わたしのせい？






ガチャっと、玄関が開く音で目を瞑る。



時刻はam05:35



冬のこの時間はまだ暗い。



目を瞑ったまま。音で確かめる。




ゴト。


いま、鍵と携帯をリビングに置いたな。



カチャッ



コートをハンガーにかけてる。



ドサッ




また、ソファーで寝る気だ。


別に彼が何をしていてもいいんだけど。

もう、諦めているんだから。




am07:15


アラームの音に身体を起こす。

会社に行かなければ。


寝てない日が続いても。泣く日が続いても。

誰も慰めてはくれない。

誰も気付いてくれない。

だって、彼は。


私ではなく


他の女性を見ているんだから。


そして、今日も。


女の人の、わたしとは別の匂いを付けて帰ってくる。


帰る場所がわたしならいいんだ。


彼を起こさぬように。

黙ってら会社に、行く準備を淡々と進めていく。


リビングのソファーには、ねむったままの彼の姿。



起きる素振りもなく。


その彼を横目に。



『さようなら。』


そう、口にして会社に行く。


もう、戻らなくてもいい。


あなたのそばに居れるだけで。


END

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