雨後 ページ19
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あの後どう帰ってきたのか、よく覚えていなかった。
知らないうちに部屋に戻って、お風呂に入って、歯を磨いて…、気づけば翌朝。
「……長生きしろよって、自分が死んでりゃ世話ないわよ」
野薔薇に昨日のことを伝えると、一瞬だけ目を見開いたのち口を開いた。
この界隈では仲間の死を目の当たりにすることも少なくない。
でも私ははじめてのことで、上手く振る舞えずにいる。
「Aははじめてだったみたいだけど、アンタ仲間が死ぬのははじめて?」
「同級生ははじめてだ」
「ふーん…。その割に平気そうね」
「……お前もな」
「当然でしょ。会って2週間やそこらよ。
そんな男が死んで泣き喚くほどチョロい女じゃないのよ」
チラッと野薔薇に視線を向けると、唇を震わせて泣くのを我慢しているようだった。
私も、いつまでもメソメソしてはいられない。
恵が話を逸らすように話題を変えたのをきっかけに、しっかりと前を向いたとき、
「なんだ、いつにも増して辛気臭いな 恵。
Aもだがお通夜かよ」
向こうから一年上の先輩である、禪院真希先輩が来ていた。
真希さんはこういうこと言わない人だ。
きっと知らないんだろうなと思っていると、木の影からパンダ先輩と棘先輩が現れて焦りながら口を開く。
「マジで死んでるんすよ!昨日!一年坊が1人!」
「おかか!」
「は や く い え や !!!
これじゃ私が血も涙もない鬼みてぇな奴だろ!!」
「実際そんな感じだぞ!?」
「ツナマヨ」
わちゃわちゃし出した3人を見て笑いが漏れる。
本当に仲良いなぁ、ここに憂太先輩もいればいいのに。
そんなことを思っていると野薔薇につつかれて、顔を向ければなんとも言えない表情をしていた。
「何あのひと(?)たち」
『2年の先輩たちだよ』
「女の人が禪院先輩、呪具の扱いなら学生一だ。
呪言師・狗巻先輩、語彙がおにぎりの具しかない。
パンダ先輩。
あと1人乙骨先輩っていう唯一手放しで尊敬できる人がいるが今海外」
「あんたパンダをパンダで済ます気か」
『パンダ先輩はパンダ先輩』
「Aまで!?」
野薔薇も真希さんのこと好きだと思うよ、なんてコソッと伝えると、パンダ先輩が話しかけてきた。
「いやー、すまんな喪中に。
だが、お前らに"京都姉妹校交流会"に出てほしくてな」
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れおすけ(プロフ) - ちーさん» ありがとうございます!!!笑 また更新頑張ります!! (2021年11月10日 0時) (レス) id: 62ab6277f9 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - 好きです!笑 (2021年11月9日 12時) (レス) @page38 id: ca5a92bd63 (このIDを非表示/違反報告)
れおすけ(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます!オチは自分の中でも未定ですので、今後も応援してくれるとうれしいです! (2021年4月19日 14時) (レス) id: 424d22639a (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - れおすけさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月19日 9時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れおすけ | 作成日時:2021年4月14日 23時