悪夢再び ページ18
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リビングから自分の部屋に逃げ、ドアにもたれ掛かる私。
はぁ、……。
なんでこんなに上手くいかないんだろ。
さっきあの男のことを思い出さなければね。
上手くいったのに。
はぁ……。
年上のくせに情けないなぁ、ほんと。
私より年下なのに、陣の方がしっかりしてる。
私より年下なのに、吉野の方が、まこっちゃんの方が、……。
恐怖と痛みが混ざりあって、いい感じに私の心を攻撃してくる。
コンコンコン
「Aさん、入っていい?」
「……ダメって言ったら?」
「入らない」
「んふ、いいよ」
「おぉ、Aさんそこにいたの」
吉野は手になんか持って、カーペットの上に座った。
小さいテーブルに置かれたのは、見覚えのある、めちゃくちゃ美味しそうな悪魔のおにぎり的なやつ。
「Aさんお腹すいた?」
「んー、あんまり、」
「あら。でもまぁ2人分しっかり作っちゃったから食べて」
なんか食べないと薬も飲めないでしょ、と私にピッタリくっついて吉野はおにぎりを食べ始めた。
チラチラこっちを見ながらめちゃくちゃ美味しそうにおにぎりをほおばる吉野。
……あー、ムカつくけどお腹すいてきたかも。
「ふっ、Aさん可愛い」
「意味わかんな、……いただきます」
「はぁい(笑)」
あ、この味懐かし。
これってあれじゃん、落ち込んだ吉野に昔作ってあげたやつ。
味付けとかよくわかったね。
「いやぁ、この味探すのめちゃくちゃ時間かかったんですよ」
「へぇ、言ってくれれば教えたのに」
「サプライズ的な?(笑)」
「サプライズ大成功だね、(笑)」
「ふふ、よかった。やっと笑った」
それにしても美味しい、このおにぎり。
あー、なんか泣けてきそう。
「……吉野」
「ん?」
「私パフォーマー組が怖くなってた」
「……。」
「どうしようね、私パフォーマーなのに、(笑)」
「無理しなくていいからね」
「……別に無理してないよ」
「じゃあAさん無意識に無理してるから俺が止めないとね」
「そうだね。吉野がいれば安心だ」
「っ、……」
ふっ、吉野照れてる。(笑)
それにしても美味しい、このおにぎり。
私より全然上手じゃない?
今度教えてもらお。
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作者名:L | 作成日時:2020年4月19日 18時